マスターズ史上“最遅”記録 挑戦19回目でガルシア制覇
優勝賞金は約2億2000万円(This is Golf/Wikimedia Commonsより)
19回目の挑戦にして初の優勝――これはマスターズ史上“最遅”だそうだ。しかし、一度出るだけでも夢のような大舞台に19回、しかも続けて出ているのだから、これはこれで凄い。
今年のマスターズを制したスペインのセルヒオ・ガルシア(37)のことである。
彼が初めてオーガスタの地を踏んだのは19歳。鳴り物入りの若者は易々とローアマに輝き、翌月プロに転向。即座に勝ち星を挙げた。
圧巻はその年の全米プロ。ルーキーながらタイガー・ウッズと一騎打ちに及び、惜しくも1打及ばず2位に。
「当時は、“第2のタイガー”と賞せられ、メジャー制覇は時間の問題と言われていたものです。でも、実際はそうなりませんでした」
と在米ゴルフジャーナリストの舩越園子氏が語る。
今大会を前にしての彼の通算成績は米ツアー9勝、欧州ツアー12勝。だが、そこにメジャーは含まれていなかった。1999年の全英以来71戦連続でメジャーに出場しているにもかかわらず、“メジャーの女神たち”からは嫌われ続けたのだ。
2007年の全英もプレーオフでハリントンに惜敗。
「このとき英国メディアはここぞとばかり“ナイスガイが勝った”と書き立てたのです」(同)
つまり、ガルシアはナイスガイではないから勝てなかった、というのだ。
実際のところ、彼は“問題児”だった。パットを外してカップに唾を吐くわ、不利な裁定をしたルール委員に靴を投げつけるわ、ギャラリーのヤジに言い返すわ……ついた仇名は、異常気象からとった“エルニーニョ”である。
だが、ここ数年はガルシアも成長し、問題行動は影を潜めた。周囲の彼を見る目も変わったのだとか。
「“ゴルフレポーターの女性と年内に結婚する”という話もあって、パトロンたちはガルシアに温かな声援を送っていました」(同)
メジャー挑戦74回目のこの大会でようやく女神に振り向いてもらったガルシア。もはや彼をエルニーニョと呼ぶ者はいまい。