大統領選で急伸 “韓国のゲイツ”は日本の味方か
安哲秀氏
(Jinho Jung/Wikimedia Commons)
博打で言えば“テッパン”と思われたレースに、いったい何があったのか──。
3月10日の朴槿恵(パククネ)罷免以来、大統領選一色の韓国だが、当初から圧倒的な支持率で独走してきたのは、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表(64)だった。
「多数の候補が乱立する中にあっても、文氏の支持率はずっと30%を超えていましたからね」
と話すのは在ソウルのある特派員。だが、選挙の潮目は変わったのだ。
「10%にも届かなかった『国民の党』の安哲秀(アンチョルス)氏が、ここにきて各種の世論調査で文氏に拮抗。コリアリサーチ社が4月9日に発表した数字では、文氏が33%、安氏が37%とついに逆転しました」
安氏の急浮上には、各党の統一候補選びが終ったことも影響が大きいようだ。
「文氏は、盧武鉉(ノムヒョン)政権時代から革新派の中枢にいる大物ですが、独善的でアンチも多い。そのため、民主党の他候補支持者が安氏へと流れたのです」
また、『悪韓論』の著者・室谷克実氏は、そもそも彼の国の世論調査はあまり信じてはいけないと、この急展開の原因を分析する。
「韓国の人は何でも強く主張したがるところがあって、アンケートでも“どちらでもない”とはほとんど答えません。では、固く支持しているのかと言えば実はそうでもない。数字が雰囲気で簡単に乱高下するのです」
文氏と同じく革新系の安氏だが、IT企業を創業して成功し、“韓国のビル・ゲイツ”とまで呼ばれる人物。55歳と若く、THAADの配備も明言し、安全保障問題には柔軟だ。
「有力な候補者のいない保守層を取り込みつつあるのはその通り。しかし、日本が安氏に期待できると思うのは大きな間違い。もし慰安婦像などで日本に理解を示したりしたら、足元の支持基盤が崩れる。どちらが勝つか5月9日の投票日まで流動的ですが、反日政権が続くことだけは確かです」(同)
実態はかくも哀しかった。