カッターナイフを父の病室に… 荻野アンナが語る「介護」の実体験

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■「真面目な介護者」の心中

 荻野の異変を目の当たりにした病院側が対処してくれたため、

「結局、カッターナイフを使わずに済みました。本当によかった。しかし無意識とはいえ、私は間違いなくカッターナイフを買い、父の病室に持ち込んだ。父への殺意というよりも、『世界中で私以外にこの人の面倒を見られる人はいない。だから、責任をとって心中しよう』という気持ちからの行動だったと思います」

 そして彼女は、「真面目な介護者」の心中をさらにこう分析する。

「介護をする肉親は、『全て自分で自己完結させなければならない』と思い込んでしまう。『介護殺人』のケースも、極限状態に追い込まれた人ばかりです。介護対象者が世の中に迷惑をかけていることに対しても、絶望的な気持ちを覚えるんですよね。私も、父が病院に迷惑をかけているのがとても辛かったですから」(文中敬称略)

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(4)へつづく

特集「『橋幸夫』『安藤和津』『荻野アンナ』『安藤優子』『生島ヒロシ』他人事ではなかった『介護殺人』の恐怖」より

週刊新潮 2017年4月6日号掲載

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