牛丼「松屋」に“シャリアピン” 発祥は帝国ホテル

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本家シャリアピンステーキ

 付けも付けたりシャリアピン! 牛丼「松屋」の新メニューに“シャリアピン”の登場であります。

 往年のオペラ歌手フョードル・シャリアピンが逗留先のわが帝国ホテルに「柔らかいステーキが食べたい」と所望したことに端を発するシャリアピンステーキ。彼は歯痛に悩んでいた。時は1934(昭和9)年である。

 以来、帝国ホテルの名物に成長、今もメインダイニングのひとつ「ラ ブラスリー」のメニューに燦然と輝く。

 そこに松屋――。

「シャリアピンステーキは意識していますが、ウチのは『チキングリル定食 シャリアピンソースを添えて』で鶏肉です。ソースは玉葱のみじん切りを醤油とニンニクを使って甘辛い味付け。ヴォリュームがあるのでやはり男性のお客様に好評のようです。帝国ホテル? いえ、御挨拶はしていませんが」(松屋フーズ広報)

 こちらのお値段は税込650円也。牛丼屋だからビーフかと思えばさにあらず、庶民の味方ゆえ、チキンというところがご愛嬌!

 肝心なのは玉葱を使うところらしい。ここが“松屋”と“帝国”の共通点……ホテルのHPにこう説明がある。

〈玉葱に漬け込み、柔らかく仕上げたランプ肉と、ソースの代わりにたっぷりのせた玉葱のソテーが醸し出す奥深い味わいが特徴の料理です〉

 もちろんお値段も奥深い。消費税を加えれば、5300円となる。

「そのクラシックな味に惹かれるお客様が多くいらっしゃいます」

 とは、当の帝国ホテル広報課。

「1936(昭和11)年に2度目の来日をしたシャリアピン氏に当時の犬丸徹三支配人が名前を頂戴したいと申し出て快諾されました。料理長の間で相伝されてきた味です。昔から余所でも同名のステーキを出しているようですし、それは“バイキング”同様、帝国ホテル発祥スタイルが広まった例だと思います」

 恐れを知らぬ松屋シャリアピンは、“4月いっぱい”といいますから、ご興味のムキはお早めに。

週刊新潮 2017年4月20日号掲載

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