国会で取り上げられた「朝日新聞」押し紙 新聞各紙は報じず

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■百害あって一利なし

 新聞販売に詳しいジャーナリストの黒薮哲哉氏は、

「販売店のトラブルはここ1年で急増しています。そんな苦境にあって、国会で質疑がなされたのは意義があることだと思います」

 そう前置きしながら、

「昨年、公取が朝日に注意してから、押し紙問題に関する世間の潮目が変わったと感じます。佐賀新聞の裁判でも、販売所側が求めた契約更新拒絶の無効を求める仮処分を裁判所が認めた形なので、公取は動かざるを得ない。仮にその流れで公取の監視が強まれば、現在の新聞販売網は大混乱に陥るでしょう」

 元毎日新聞常務で『新聞社─破綻したビジネスモデル─』(新潮新書)の著書もある河内孝氏も、こう指摘するのだ。

「予備紙、押し紙が意味を持っていたのはせいぜい1980年代頃まで。当時は販売店が1、2割多めに受け、ビール券などを用いて拡張員が頑張っていた。部数が増えれば本社からインセンティブが貰えるので、販売店も無理をする甲斐があったのです」

 それが現在では、

「販売店の統廃合が進み、経営的にも予備紙は無意味となっている。本社にとっても百害あって一利なしなのに、いまだ上層部に『部数は力だ』と信じる人がいるから、止められないのです」

 実情を晒された朝日は、

「部数注文は、販売所の自主的な判断でなされています。弊社はその注文に応じて供給しています」(広報部)

 そろそろ、本当のことを記事にしてはどうか。

ワイド特集「秘中の秘」より

週刊新潮 2017年4月13日号掲載

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