ポール・マッカートニー、著作権争いが米で再燃

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 今月末にまた来日するポール・マッカートニー(74)。驚異的な元気さを支えるのはもしかして執念か……。

 ポールが米NYの連邦地裁に、ソニー子会社で世界最大の音楽出版会社SONY/ATVが所有するビートルズの著作権の返還を求める訴訟を起こしたのが今年1月。だが3月になって、ソニーは突っぱねたという。

「音楽業界では通常、作曲者は音楽出版社に著作権を譲渡し、著作権管理団体を通じて出版社が楽曲使用料を徴収しているのです」

 とは著作権に詳しい高木啓成弁護士である。だが、

「ビートルズのそれは、より複雑でねえ……」

 というのは音楽評論家の大鷹俊一氏。ビートルズが「ラヴ・ミー・ドゥ/P.S.アイ・ラヴ・ユー」でデビューしたのは1962年。この時はEMI傘下の出版社と契約したが、売れ行きが良くなかったため、翌年、新たに契約したのがノーザン・ソングスである。「ヘルプ!」や「ヘイ・ジュード」など、レノン=マッカートニーの名曲の著作権はここへ譲渡されたのだが、この出版社が売却され、その親会社も売りに出されるなど紆余曲折、一時はマイケル・ジャクソンの手に渡った。

「権利ビジネスに熱心だったポールが、共作で仲良くなったマイケルに教えたともいわれました」(同)

 マイケルの死によって手に入れたのがソニーである。

「使用料から管理手数料を頂き、それ以外を作者に支払うという形は他のアーティストと変わりませんよ。ポールの真意を測りかねています」(日本のソニー)

 だがその手数料が高いというのは前出の高木弁護士。

「日本では出版社と作者の取り分は多少の差はあっても50対50が普通。米国でもそれが一般的と聞きます」

 英国人のポールが米国で訴えたのは、譲渡した著作権が契約から56年後に作者が取り戻せるという米国法があるため。それが適えば来年から順次ポールの元に。

「お金じゃないと思います。ソングライターとして、自分の作品を手元に置きたいというプライドによる裁判ではないでしょうか」(大鷹氏)

 Let it be……とはいかないようで。

週刊新潮 2017年4月13日号掲載

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