金正恩「斬首作戦」 実行ならば日本経済も打ち首に

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■難民と死者の数は…

70歳「大統領」の怒気(Wikimedia Commons/from the White House)

 朝鮮半島有事と言えば、参照したいのは、70年近く前の朝鮮戦争である。この戦争で起きた特需が日本の復興の足掛かりとなった。

「有事のドル買い」という言葉もある。これまでもミサイル発射など、半島が不安定になると、必ず円安、株高に振れてきたものだが、

「このタイミングで朝鮮半島有事が起きれば、余程のことがない限り、円高が起こるでしょう」

 と言うのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏。

「昨年のブレグジットの時がそうだったように、最近は世界的なリスクが起こると、その回避のために円が買われる傾向にあるのです。日本が大被害を受けた東日本大震災の時ですら円高になりました。今回の場合は、最悪100円を割ることも考えられます」

 シグマ・キャピタル株式会社のチーフエコノミスト・田代秀敏氏も同様で、

「円高になるのはほぼ確実で、そうなれば、株価も自動的に下がることになる。暴落と言ってよいレベルかもしれません。国債も外国人投資家から売り浴びせられ、金利が急騰し……」

 経済的に苦境に立たされるのだという。

 それ以上に、作戦が成功し、金王朝が崩壊しても、政情不安は否めず「少なく見積もって5万人、最大で20万人」(前出・志方氏)と言われる難民が日本海を渡って押し寄せ、その財政リスク、治安リスクは未曾有のものとなる。

 何より、大量破壊兵器の限定攻撃が完遂しなかったケースが最大の問題で、先の潮氏は言う。

「北は必ず報復のミサイル攻撃をしかけてくる。韓国だけでなく、日本にも及ぶ可能性は十分です。今の北朝鮮は複数のミサイルを同時に同じ場所に撃ち込むことができる。しかし日本の迎撃システムで撃ち落とせる確率は1発につき80〜90%。もし北が20発のミサイルを撃ってきたら、中のどれかが日本に落ちる可能性は極めて高いのです」

 2003年、著書『ウォー・シミュレイション』の中で、経済産業研究所のマイケル・ユー氏らはヘリテージ財団のデータを基に、北朝鮮が東京に核ミサイルを落とした時の被害を試算。それによれば、死者は最大42万人――。

 アメリカが狙う金正恩の首。その成否は、実は日本そのものの生殺与奪を握っているワケなのである。

特集「『金正恩』斬首作戦は日本経済も打ち首になる!」より

週刊新潮 2017年4月13日号掲載

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