“死の白鳥”も飛んだ――トランプVS金正恩に迫る正面衝突

国際 韓国・北朝鮮

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 中国の王毅外相は米国と北朝鮮を指してこう宣うた。

「両国は互いに加速しながら譲らない2台の列車のようだが、正面衝突の準備はできているのか」

 大手紙国際部記者は言う。

「まさにその通りですよ。3月1日から米韓軍事演習が過去最大規模で始まりましたが、米軍は原子力空母は投入する、原子力潜水艦は展開させる、攻撃型無人機は配備する、と北朝鮮への圧力を強める一方。片や北朝鮮は6日、日本海に向けて4発のミサイルを同時発射。在日米軍基地攻撃を担う“火星砲兵部隊”が“核弾頭をフル装備し本拠地を焦土化する覚悟を固めた”と嘯きました。その上、19日には新型ロケットエンジンの燃焼実験に成功したと発表、22日にもミサイル発射実験を行ったのです」

 同日、米軍がグアムのアンダーセン基地から飛び立たせたのは戦略爆撃機B1B。核爆弾を24発搭載可能な通称“死の白鳥”だ――。

「これでもかという米国の軍事力の誇示にも北朝鮮は“先制攻撃でいかなる策動も踏みつぶす”と応酬。チキンレースの領域が徐々に狭まっているのです」(同)

 コリア・レポート編集長の辺真一氏も不安を洩らす。

「朝鮮半島でこれほどの危機的状況は近年、類を見ません。4月15日には故金日成国家主席の誕生日を迎えます。また北は何かやってくるでしょうし、その時米国は座視できるのか」

 外交ジャーナリストの手嶋龍一氏も言う。

「注目すべきは、従来和戦を巡る大統領の決断を、軍事作戦を含めてNSC(国家安全保障会議)が支えてきましたが、今度は軍事作戦の策定・実施は国防総省が担うようになったこと。外交や情報など各機関の調整はNSCの役割ですが、こと軍事作戦は国防総省が立案、トランプ大統領が承認すれば実施されるようになったのです」

 かてて加えて、支持率が37%にまで下がったトランプ氏。軍事行動による支持率上昇の誘惑に抗えるのか――それも不安材料だ。

週刊新潮 2017年4月6日号掲載

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