警官が銃不所持の英国、ロンドンテロ犯を“82秒で射殺”のワケ

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 英国の警官は銃を携行しない。欧州各国で革命の嵐が吹き荒れた19世紀に誕生したスコットランドヤード、すなわちロンドン警視庁は“市民の守護者”を任じ、銃を持たずに警邏した。それ以来の伝統だ。

「そのロンドンのど真ん中で3月22日、凄惨なテロ事件が起きました。ウェストミンスター橋の歩道を暴走した車が次々に人をはね、国会議事堂を囲む柵に突っ込んで停止。犯人は敷地内に入り込むとナイフで警護の警官を殺したのです。犯人はカリド・マスード(52)。イスラム過激思想の持ち主で、傷害事件の前科がある人物でした。居合わせた警官にその場で射殺され、銃規制反対派のトランプ米大統領は警察の対応を賞賛しました」(国際部記者)

テロがあったウェストミンスター橋付近

 死者4人、負傷者40人以上を数える惨劇は、開始から82秒で幕を閉じた――が、あれ? 英国の警官は銃を持たないんじゃないの?

 英国在住の国際ジャーナリスト、木村正人氏は言う。

「確かに英国の警官は普段、銃を持ちません。殺された警官も丸腰でした。たまたまファロン国防相のボディガードが居合わせ、射殺できたのです。要人警護等の特別任務に就く警官は銃を携行できますから」

 テロ犯が簡単に議事堂敷地内に侵入できたことから、事件を機にテロ対策の見直しが議論されているが、

「テロの発生そのものを止められないことが最大の問題です。実は、情報機関の潜入などにより、刑務所内でイスラム過激派がさかんにリクルートを行っていることがわかっています。が、“信教の自由”があるため、これを止めることができないでいます」(同)

 マスードも刑務所内で改宗した口。更生施設が過激派の温床となるという皮肉な現象が起きているのだ。

週刊新潮 2017年4月6日号掲載

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