時価総額230兆円 東証が熱烈誘致「サウジアラムコ」の威力
サルマン国王
46年ぶりにサウジアラビアの国王が来日した。その目的は“脱石油”への協力要請。わが東京証券取引所も商機とばかりに、サルマン国王(81)がチラつかせる“美味なる果実”を得ようと必死になっているのだ。
サウジアラビアは、歳入の約8割を石油販売が占めている。原油埋蔵量は世界最大級の2610億バレルだが、シェールガスの影響などで原油価格が下落し、国家財政が逼迫しつつあるという。国際ジャーナリストの山田敏弘氏によれば、
「サウジでは労働者の8割が外国人。これまで彼らの“給与”は課税対象外でしたが、今年7月から所得税の徴収を始めるほど厳しい。サルマン国王は、来年中に世界最大の石油会社『サウジアラムコ』を上場させて、国家財政を好転させようと考えているのです」
アラムコは国営企業で、サルマン国王の息子であるムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(31)が舵を取っている。金融アナリストの松田遼氏が解説するには、
「目下、時価総額トップはアップルの80兆円ですが、アラムコのそれは230兆円になるとの試算もある。発行済み株式の5%にあたる10兆円以上の株式が売り出される見通しで、上場すれば間違いなく株式市場は活気づくでしょう」
すでに各国の株式市場関係者が誘致に向けて蠢動。東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)もニューヨーク、ロンドン、香港などと鎬を削り、昨年末から誘致へ向けて動いているのだ。株式専門紙の記者がいうには、
「JPXの清田瞭CEOは、サルマン国王に同行したサウジ証券取引所トップと金融商品の共同開発を含む提携の覚書を交わした。実は、昨年12月に清田さんはサウジへ飛び、アラムコ本社でムハンマド副皇太子と会談し、その席上で“上場では、東証も有力な選択肢の1つ”との言葉を引き出していたのです」
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