「トランプ」娘婿、謎の中国人と不動産ビジネス
トウ小平の孫娘の夫で、中国の保険大手である安邦保険を率いる呉小暉
武力を使わず目的を果たすにはどうしたら良いか。中国の兵法書「六韜」には、君主に聞かれた太公望がこう答えたとある。〈相手の側近に賄賂を贈り、しっかりと心をとらえるのです〉。まさか、故事にならったわけではあるまいが、トランプ大統領の娘婿・クシュナーの身内企業に大金をポンと払う中国人ビジネスマンとは――。
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ジャレッド・クシュナーといえば、トランプ大統領の娘・イヴァンカの夫にして大統領上級顧問を務める側近中の側近である。
そのクシュナーの一族が所有するビルに中国企業が4億ドルもの大金を出すと報じたのは、3月14日付のニューヨークタイムズだ。記事によると、一族の会社「クシュナー・カンパニー」は、マンハッタン五番街に41階建ての高層ビル「666ビル」を所有しているが、最近になって中国の「安邦保険」という会社から融資を受けることになったというのだ。
トランプ大統領の身内に何が起きているのだろうか。現地の特派員が解説する。
「『クシュナー・カンパニー』は、最近までクシュナー自身が会長を務めていた会社です。同社は2006年に18億ドルで『666ビル』を買収したのですが、リーマンショックなどもあって資金繰りが苦しくなっていた。そこへ、名乗りを上げてきたのが安邦保険だったというわけです」
安邦保険は資産3000億ドルという巨大企業グループだが、その氏素性は調べれば調べるほど怪しい。
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