乳児噛み殺し事件 従順なレトリバーが凶暴化する5つの引き金

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■恐怖、嫉妬

 まず、

「当該の犬が抱いた不安や恐怖が噛み付きを誘った可能性があります」

 と言うのは、「野村動物病院」の野村道之院長である。

「レトリバーを含め、本来は感情をコントロールできる犬でも、突発的に攻撃衝動を得る状態というのがある。これは条件が揃えば、どんな犬でも程度の差こそあれ、起こる可能性があるのです」

 今回の場合、何が不安や恐怖のキッカケになったか定かではないが、

「赤ちゃんは二足歩行ではなく、四足でハイハイし、時折奇声を上げたりする。変った生き物が入り込んできたら、時と場合によっては、怖がることもあるかもしれません」

 と言うのは、「遠藤ドッグスクール」の遠藤暁彦トレーナーだ。

「あるいは、普段自分を可愛がってくれるおじいちゃんやおばあちゃんが、今日に限っては、その生き物を可愛がる。それに嫉妬をして噛んでしまったという可能性もないことではないと思います」

 とりわけ人の気持ちを察する犬だけに、負の感情にも敏感というワケなのだ。

「私が気になったのは、飼い主さんの“うちの犬は臆病で……”という言葉です」

 と、遠藤氏が続けて別の要因について指摘する。

「あくまで一般論ですが、『臆病な犬』というのは、社会性に欠ける面が多い。もしかすると、飼い主さんは可愛がる一方で、子犬の頃に身に付けるべき社会性をマスターさせることが出来なかったのではないか、とも推測できるのです。世の中には赤ん坊からお年寄りまで、さまざまな人がいて、可愛がってくれる人もいれば、そうでない人もいる。一般に社会性が低い犬は、テリトリー意識が非常に強く、そこへ赤ちゃんが入ってきたがゆえの事件だったのかもしれません」

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