マラソン新星・安藤友香、指導は“ウェットな師弟関係”

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 低迷が続く日本マラソン界が変わろうとしている。

 3月12日に開催された名古屋ウィメンズマラソンは、新鋭の安藤友香(ゆか)(22)が初マラソン日本最高記録にして日本歴代4位の2時間21分36秒で日本人1位となり、今夏の世界陸上ロンドン大会への切符を手にした。

「優勝したリオ五輪銀のキルワ(32)と最後までトップ争いを繰り広げるなど、内容面も評価されています」

 と大手紙陸上記者が語る。

 安藤に次ぐ3位は同学年の清田真央。実は二人とも「スズキ浜松AC」なるクラブチームに所属している。

 同クラブは、やり投げの村上幸史、十種競技の右代啓祐らオリンピアンが所属していることで知られるが、男女長距離選手も多数在籍している。そして、

「実業団でないこともあり、駅伝よりマラソンを最優先して練習に励んでいる。いわば“反主流”です」

 世界陸上代表は17日に正式決定し、好記録をマークした清田も当選。

「更には男子も、陸上部でなく“マラソン部”を標榜するMHPS(三菱日立パワーシステムズ)の井上大仁(ひろと)、公務員ランナーの川内優輝が代表入りした」

 男女6枠中4枠が“反主流”に占められたのだ。

 変革の波は、指導スタイルにも及んでいる。

「近年は距離を積むより科学トレーニングが主流ですが、安藤らを指導する里内正幸コーチは昔ながらの走り込み重視派。中山竹通を育てた佐藤進氏の門下生で、“厳しさの中にも家族のような温かみのある指導者が私の理想像”なのだとか」

 手の甲に“絶対に諦めるな”とコーチにマジック書きしてもらっていた安藤は、ゴールでコーチに抱きついて号泣した。

「瀬古利彦選手と中村清監督などもそうでしたが、ウェットな師弟関係が復権し、“古き良き時代”へ回帰しつつあるのかもしれません」

 まずロンドン。その先には東京五輪が見えている。

週刊新潮 2017年3月23日号掲載

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