小池知事にも厄介な「ベンゼン100倍」のハードル
さてどうする?
“百”という数字が都政を揺さぶっている。とはいえ、百条委員会の話ではない。
豊洲市場の地下水から、基準値の100倍を超えるベンゼンが検出されたのだ。
都政担当記者の話。
「調査を担当した専門家会議の座長は、この結果を踏まえた上でもなお“豊洲市場の安全は確保されている”と宣言したのです」
あくまで地下水が汚染されているだけで、地上部分の観測値に変化はなかったというのが理由なのだが、
「座長はさらに、移転の是非について“あとは政治的課題”と、小池さんに投げ返したんです。これまで、『専門家の調査結果を待って判断する』としていた小池さんも、これでもう逃げ場がなくなった」(同)
しかし、小池知事にはさっさと決断できない事情がある。
「100倍だから危険、もしくは、値は低いから安全、と言ってもらえれば決断できたのに……」
とは、小池氏に近い関係者。
「築地市場を再整備するという判断を下した場合、豊洲市場建設にかかった費用約6000億円を巡って、住民から訴訟を起こされるリスクが生じる。さらに、『安全なのになぜ移転しないのか』という批判にも答える材料がないんです」(同)
豊洲移転にゴーサインを出したとしても、
「一貫して豊洲移転を主張してきた政敵・都議会自民党に乗っかることになります。豊洲問題を争点にしたい7月の都議選を前にして白旗を上げるも同然ですから、今すぐ豊洲移転を口に出すことは難しい。都議選と同時に住民投票で決めるという話も出ていますが、決断力のなさを自ら晒すことになりかねません」(同)
この厄介なハードルを、どう飛び越えるか――。