最高裁棄却! 虫が良すぎる「忘れられる権利」 検索エンジンへの犯罪記事削除要請
■「更生の機会」など…
加えて、異なる視点から最高裁の判断を是とするのは、「全国犯罪被害者の会」副代表幹事の高橋正人弁護士である。
「とりわけ性犯罪の場合、被害者にとっては“忘れられる”など、とんでもない話です。更生の機会が失われるなどと言いますが、本人に改心したい気持ちがあるのなら、ネットに名前が出ようが出まいができるはず。そうした弁解をしている時点で、更生など無理ではないかと思いますね」
あらゆる“過去”に対して一律に削除不可というわけではなく、あくまで個々の事案を考えて今回の判断は下されており、
「まったく身に覚えがなくても悪質なデマを書き込まれてしまうのが、現代のネット社会です。まして罪を犯したのだから、その記述が残っていても、それは自業自得。それで就職ができないなどと主張するのなら、自分で事業を始めればいいだけの話です」(同)
犯罪者の精神鑑定に携わってきた、一般社団法人「こころぎふ臨床心理センター」の長谷川博一代表も、こう言うのだ。
「窃盗などと並んで再犯率が高いと言われる性犯罪は、偶然に選ばれただけの被害者側からすれば、精神に深い傷を負うことになる。『魂の殺人』と言われる所以です。たとえ相手の同意があったとしても、次第に同じ刺激では満足しなくなる常習性があるため、検挙されなければ別の性犯罪を引き起こす可能性があります。また盗撮では、空想がエスカレートすれば下着の窃盗や強制わいせつ事件へと進むケースもあるのです」
ちっとも“軽微な犯罪”ではないわけで、
「本人が再犯率を下げる努力を何もせず、権利だけを主張するのは虫が良すぎると思います。犯歴の削除申請をするのなら、『自分はこれだけもがき苦しみ、生まれ変わりました』という証明をする責任が、削除を求める側にあるはずです」(同)
身から出た錆は、自ら拭き取らねばならないのだ。
特集「過去の罪が消せると思うか! 最高裁が棄却『グーグル犯歴削除』を請求したタワケたち」より
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