森友「愛国校舎」の後始末 ドアホ理事長vs.国vs.建設業者で三つ巴

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留置権

 現状、校舎は未完成で、森友学園は工事代金も全額支払っていないわけだ。
 だとしたら、籠池理事長の勝手な一存で、校舎を撤去するしないを決められるものなのか。

 不動産トラブルに詳しい三平聡史弁護士が解説する。

「建設業者が工事に使われた材料の全部あるいは大部分を調達している場合、建設業者には留置権というものがあって、依頼主が工事代金を支払わなかったら建物を引き渡さないという手段を取ることができます。ただ、今回のケースは特殊で、国からの土地の買い戻し特約が付いているので、留置権では対抗できず、国から求められたら校舎は取り壊さざるを得ないでしょうね。裁判で争っても勝ち目はありません」

 結局、例の校舎はお取り潰しとなる公算が高く、藤原工業は森友学園から残金を取り立てるしかないという。

「森友学園は塚本幼稚園も運営しているわけですが、資産総額を約8億8000万円だと大阪府に届け出ています。しかし、藤原工業が森友学園の保有する不動産とか、強硬なやり方としては園児からの授業料を差し押さえても未払い金には足りません。さらに、森友学園が破産すると、債権額に応じて財産が分配されますが、すでに不動産に抵当権を設定している銀行への分配がまずは優先されます。藤原工業はその次になるので、いずれにしろ工事代金を全額回収するにはかなりの困難が伴います」(同)

 一方、籠池ファミリーはすべてを失うわけではない。

 森友学園のほかにも、「肇國舎(ちょうこくしゃ)」と「籠池学園」で保育園などを運営しているが、別法人であるため、藤原工業には手出しができない。

「愛国校舎」を失っても、籠池ファミリーには小学校再申請のチャンスは残されるのである。

特集「『森友学園』の魑魅魍魎」より

週刊新潮 2017年3月23日号掲載

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