櫻井翔パパは「社長」だった わかりにくすぎる「官僚の肩書」を一挙解説

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 小池百合子都知事の話題が多すぎるので、忘却の彼方に消えつつあるが、昨年の都知事選で一時期「有力候補」とされたのが、嵐の櫻井翔さんの父親、桜井俊総務事務次官(当時)であった。世間的には、あまりなじみがない「事務次官」という肩書が、この時ほどクローズアップされたことはなかっただろう。

 「事務」は事務員を連想させるし、「次官」は「2番手」という印象があるので、あまり偉い感じがしないが、キャリア官僚のトップにあたる肩書が「事務次官」。櫻井パパは、所属する総務省では、当時一番偉い人、株式会社にたとえれば「社長」にあたる地位にいたというわけだ。

 事務次官に限らず、官庁の肩書はわかりにくい。

 日本の様々な肩書を研究、分析した「本邦初の本格肩書入門!」と謳った『出世と肩書』の著者、藤澤志穂子氏は、官庁の肩書を理解しやすくするために、一般企業との比較表を作成している。以下、同書で公開している「もしも国土交通省が民間企業だったら」という比較を紹介してみよう(引用は『出世と肩書』より)。

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 霞が関の中でも規模が大きい国土交通省を一般企業になぞらえる。企業はメガバンクなど、司令塔である「持ち株会社」の傘下に実際の業務を扱う「事業会社」がある企業グループをイメージしてほしい。「政務三役」を持ち株会社とし、主たる業務を担う中核事業会社を国土交通省、その配下に観光庁、海上保安庁、気象庁などの「関連事業会社」がある。

【政務三役】持ち株会社
国土交通相(国務大臣)=持ち株会社社長兼事業会社会長、取締役会議長
国土交通副大臣=持ち株会社副社長兼事業会社副会長
国土交通政務官=持ち株会社専務兼事業会社副会長

【官公庁】事業会社グループ
国土交通事務次官=中核事業会社社長
観光庁長官、海上保安庁長官、気象庁長官=関連事業会社社長
国土交通審議官、技監(事務次官級)=中核事業会社副社長
官房長(国土交通省のみ)=専務取締役
局長(国土交通省のみ)=専務もしくは常務取締役、総合商社の部門長
審議官(局付)=取締役執行役員
課長=部長
参事官=部長代理
課長補佐=課長
室長=課長
企画官=課長代理
係長=主任

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 こうして肩書を比較すると、かなり理解が進むが、それにしてもわざと国民からわかりにくくしているのかと勘繰りたくなるくらいである。

 ちなみに、『出世と肩書』によれば事務次官の平均年収は約2300万円。庶民から見れば大変な高給ではあるものの、上場企業の社長と比べた場合には高額とは言えないし、桜井氏の場合は息子よりも安かったと推定される。もっとも「絶対に倒産しない」ことや「天下り後の収入」を考えれば、また話は別になるのだが。

デイリー新潮編集部

2017年3月21日掲載

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