シャープの次は東芝半導体!「鴻海」劇場第2幕
鴻海劇場の第2幕が上がろうとしている。台湾の鴻海精密工業は、昨年4月に3888億円を投じてシャープを買収したばかり。だが、“主役”の郭台銘会長(66)の目は、早くも次の標的を捉えているのだ。
「真剣に検討しています。一緒にいい仕事がしたい」
3月1日に中国広州で開かれた液晶パネル工場起工式の後、郭会長は東芝の半導体事業買収に触れ、その意欲を隠そうとはしなかった。半導体業界関係者によれば、
「東芝は、4月にも半導体事業を分社化して“新会社”を設立する予定です。東芝が得意とするのは、スマートフォンなどに内蔵されるNAND型フラッシュメモリ。新会社の企業価値は2兆円に上るとの試算もあり、株式の過半数を売却しただけでも債務超過を回避できるはずです」
当初、東芝は新会社の株式20%未満を売却する方針だった。しかし、買い手が“経営に関与できない”として売却交渉は難航。そこで売却比率を50%以上に引き上げ、条件次第では100%売却も視野に入れて交渉を行っている。
「半導体の価格は乱高下が激しい。ですが、NAND型フラッシュメモリは“最低5年は価格が高止まりする”といわれています。スマートフォンやUSB需要に加え、ハードディスクからNAND型フラッシュメモリへ切り替えるデータセンターからの大口需要が急増しているからです。恒常的な品薄状態で作れば作るだけ売れるし、当分の間は値崩れの不安もありません」(同)
実は、NAND型フラッシュメモリの製造企業は、世界で東芝を含めて6社程度しかないのだという。
「世界シェアトップは、韓国のサムスン電子で約37%。次いで約20%の東芝。東芝は共同出資している会社もあり、それを併せればサムスンに匹敵するシェアを誇る。しかも、性能はサムスンより上だと評価されています」(同)
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