森友学園理事長、園児への“洗脳”と“虐待” トイレ禁止、縄跳び落第で監禁も
■散歩中に君が代
手元に、塚本幼稚園の2014年度分と15年度分の卒園アルバムと、PTAが発行している「お母さん新聞」数年分がある。それらをひもとくと目に飛び込んでくるのは、園で行なわれていた右翼的教育の多種多様なシーンだ。
それについては後で詳述するとして、まずはその卒園アルバム自体が保護者と園のトラブルの火種になっていた、という話に触れておきたい。
「塚本幼稚園では、4年ほど前から1冊1万9800円もする卒園アルバムを“全員買え”と言うようになりました。“全員”というのはその年に卒園する子だけではなく、年中や年少も含めた“全員”です」
と、先の元保護者は話す。
「自分の子が卒園するわけではないので買うのを拒否すると、副園長の諄子さんが出てきて、“全員買う決まりになっている”とすごい剣幕で言ってくる。さらに携帯にも電話してきて、“あんたええ加減にせえよ!”などと一方的に怒鳴り散らしてガチャッと切ってしまう。卒園アルバムを巡るトラブルが嫌で園を辞めてしまった方もいます」
その曰くつきの卒園アルバムを開いてみると、〈入園式〉や〈奈良公園遠足〉といったごく普通のイベントに混じって、〈海上自衛隊練習艦隊入港式典〉なるものの写真がある。「お母さん新聞」でもそれは取り上げられており、
〈海上自衛隊の方々が、颯爽と歩き、整列、敬礼する姿を見て、お友達の目は感動で輝き、素晴らしい敬礼をすることができました〉
大阪護国神社で行われる〈同期の桜を歌う会〉については、こんな具合だ。
〈満開の桜の中、力強い演奏と唄、教育勅語と五箇条の御誓文を朗誦してまいりました。/先の大戦を経験されたお年寄りの方々の中には、その姿を見て一緒に口ずさむ方もおられました〉
15年度の運動会で、
「安倍首相頑張れ、安保法制通過良かったです」
と園児たちが口を揃えて宣誓する映像はテレビで繰り返し流されたが、
「その前年の運動会でも確か“尖閣諸島を守れ”と子供たちに言わせていたし、今年は園長が“シナ人と朝鮮人が……”と言っていたそうです。ただ、そういう発言を聞いても、当時はあまり驚いたりギョッとしたりしなかったんですよね。慣れてしまっていて、“ああ、また言うてるわ”と思っていました。ある意味では洗脳されていたのかもしれません」(先の元保護者)
無論、園児たちがその発言の意味を分かっていないことは言うまでもない。
「近所の家に日の丸が掲げられていたりすると“あ、幼稚園の旗だ!”と言うし、菊の御紋を見ると、“あ、幼稚園のマークだ!”。君が代も、ニコニコ散歩しながらいきなり歌いだしたりするので、内心、“おいおい、この歌、こんなときに歌う歌ちゃうで”と思ったりして……」(子供を通わせている保護者の1人)
天皇皇后両陛下の行幸啓の際には、
〈天皇皇后両陛下ありがとうございました〉
と書かれた横断幕を携えて奉迎に勤しむ園児たち。
「ただ、警備にあたる大阪府警は塚本幼稚園に対して激怒しています。事前に警備課の人間が籠池園長などにここで出迎えをして下さい、と場所を指示するのですが、彼はそれを平気で無視して、どんどん近くに行ってしまう。要するに、愛国者なら、愛国心を育むためなら、何をしてもいいんだ、という発想なのです。また、彼の奥さんも同じくらい強引です。何かの署名活動を一緒にやった時、彼女は歩いてくる人を片っ端から捕まえて、一度捕まえたら離さず、人の5倍は集めていましたよ」(籠池氏の知人)
毎日朝礼で教育勅語や五箇条の御誓文を朗誦させることについては、先の元保護者がこんな話を明かす。
「あの幼稚園では教室に『表』が貼ってあって、何かを達成できたら自分の名前のところにシールを貼る。教育勅語と五箇条の御誓文の暗唱についてもテストがあって、できないとシールを貼ってもらえない。新しい子が入ってくる1学期は特にテストが多く、“できないとさくらんぼ(2歳児クラス)に行かされる”とよくグズっていました」
普通の幼稚園では考えられないクラスの「降格」はよく行われていたようで、
「ある年長クラスの子は、音楽の練習がうまくいかなくて、先生に“もういい”と言われ、年中に降格になりました」
と、先の保護者が言う。
「年中クラスの別の子供が、年長の子が自分のクラスにいる、とお母さんに言ったので分かったのです。その子は、何回謝ろうとしても先生が聞こえないふりをして、歩いて行ってしまう、と泣いていたそうです」
先に触れた、何かを達成できたら貼ってもらえるシールに関しては、次のような出来事もあったという。
「そもそもあの幼稚園では、縄跳び100回とか飛び箱8段とかを平気でやらせるのですが、ある時、5人の子が縄跳びのシールがゼロだったそうです。先生はその5人を、普段は使わない準備室のようなところに閉じ込めて鍵をかけ、電気も消した。ちょっとした“監禁”のようなもので、当然、子供たちは怖くて泣き叫びます。しばらくしてからようやく先生が来て出してもらえたのです」(同)
知徳を磨くことを説いた「教育勅語」の精神を学ばなければならないのは園児ではなく、籠池夫妻と園の先生たちの方である。
特集「『森友学園』の火薬庫」より
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