谷垣前幹事長、頸髄損傷での長き不在 自ら食事も

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■「深刻かも…」

 また食事を開始する時、彼は白いエプロンを首からさげたのだが、それを付けたのは自身ではなく、件(くだん)の女性スタッフだった。

「あそこの病院は、リハビリの意味を兼ねてエプロンを自分で付けさせる。つまり、谷垣さんはサービスでエプロンを付けてもらったのではなく、自分では首の後ろに手を回せないということです」(医療関係者)

 さらに谷垣氏は、食事の際に着席していた。無論、立って食べる人はいないが、彼が座っていたのは単なる椅子ではなく車椅子だった。

「谷垣氏のようなケースでは、受傷後3カ月間に劇的に、その後の3カ月間は緩やかに回復し、以降はほとんどフラットな状態が続くのが一般的です。彼は受傷から7カ月が経過している。自立歩行を復帰と考えた場合、現時点で車椅子での移動というのはやや深刻かもしれません」(川口氏)

 一方、「救い」がないわけではない。食後、エプロンを外してもらった彼は、指を固定された右手でタブレットを操っていた。

「喋るのはもちろん、iPadでニュースを見たり、メールを送ったりすることは問題なくできます」(前出政界関係者)

 つまり、安倍晋三総理の森友学園問題や、谷垣グループを巻き込んだ「大宏池会構想」といった政局の話題には常に触れていることになる。その先に、自らの国会復帰を見据えていることは想像に難くない。

 谷垣事務所は言葉少なにこう説明した。

「一日も早い復帰に向けてリハビリに専念しております」

 ――1時間弱で食事を終えた谷垣氏は、「1日最大3時間のメニューが課される」(事務所関係者)というリハビリの場へ、車椅子を押されて戻っていった。彼の視線はやや下方に向けられていた。その姿には「孤闘」の過酷さが滲んでいるようでもあった。

ワイド特集「春の嵐おさまらず」より

週刊新潮 2017年3月9日号掲載

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