谷垣前幹事長、頸髄損傷での長き不在 自ら食事も

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この姿を取り戻すには……

 男が食堂のテーブルを前にぽつねんとしている。そこに女性が現れる。彼は彼女と一言二言交わす。寂しき食卓に華が加わったようにも映る。しかし、やはり侘(わび)しさは拭いきれない。それは、彼女が家族や友人ではなく病院スタッフだからである――。昨年7月、ロードバイク乗車中に転倒し、大怪我をした谷垣禎一前自民党幹事長(71)は、以来、一切表に姿を見せていない。

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 2月後半某日の朝、谷垣氏は8階建ての病院の最上階にある食堂にいた。

 昨夏の事故で、最悪の場合四肢が麻痺してしまう頸髄損傷を負った彼は、別の病院で手術を受けた後の昨年10月、長嶋茂雄氏が頼ったことでも知られる、ここ「初台リハビリテーション病院」(東京都)に移った。

「転院当初、谷垣さんはスプーンを持つこともできなかったため、食堂と同じ8階の特別室(個室)で、スタッフにスプーンで食事を口に入れてもらい、栄養を取っていた」(政界関係者)

 遂には、再起不能説まで流れた谷垣氏だが、この日はスプーンを右手で握り、自ら食事を口に運んでいた。随分、回復したかに思える。が、気になる点がないわけではなかった。

 まずスプーンを持つ手には、プロボウラーが嵌(は)めるグローブの如きプロテクターが装着されていた。それは手首から指を覆い、数本の指を一緒に束ねる役目を果たしているようだった。

 JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長の川口浩氏の解説。

「指なり手なりの筋肉を自主的に動かす力がまだ充分ではなく、2、3本まとめることで、1本分の指の力を出せるように固定しているのではないでしょうか」

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