「プレミアムフライデー」に銀座ホステス嘆息 吉原ソープも盛況ならず
月末の金曜日は早めに退社していいからもっとお金を使って、という趣旨のイベントらしいのだが、馬鹿馬鹿しいの一言。初の「プレミアムフライデー」(プレ金)となった2月24日、人出もまばらな歓楽街から聞こえてきたのは、嘆息とブーイングばかりで……。
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日本一のゲイタウン、新宿2丁目で長年ゲイバーを営んでいるママは、初のプレミアムフライデーに期待を寄せていた一人である。
「もう、プレミアムフライデーなんて言うから、気合を入れて従業員の子を普段より1人増やして待ってたのに、全然だったわよ。むしろここ最近で一番ヒマな金曜日になっちゃって、“なにこれ〜サイアク〜”ってズッコケちゃった」
と、肩を落とすママが切り盛りするのは、カウンター席のみの小ぢんまりとした店で、定員は14名。普段の金曜日なら立って飲む客も出るほどだが、
「あの日は午後9時の開店後、お客が4〜5人しかいない状態が続いたの。普段は終電後に常連さんたちで賑わうまでにお客さんが2〜3回転はするのに、あの日は1回転もままならない感じ。カラオケしててもすぐに自分の番が回ってきちゃうから、逆に忙しかったわよ! お客さんには“金曜日なのに大丈夫なの?”と心配されちゃうし……」
しかし、ヒマなのはママの店だけではなかった。
「遅い時間に来たお客さんに聞いてみたら、何だか2丁目全体が静かだって言うじゃない。早く仕事を終えた人はそのまま家に帰っちゃったか、早い時間から飲んで、2丁目に来る前にくたびれちゃったのかもしれないわね。本当は開店を1時間早めようなんてことも考えたんだけど、よしておいて正解だったわね」
ちなみにゲイの方々にとって、金曜日は元々“プレミアム”な曜日ではなく、
「ゲイの子たちがパーティーやイベントで盛り上がるのは土曜日で、金曜日の2丁目はノンケのお客様が楽しむ日。だから仮にゲイの子が午後3時に会社を出ても、出会いのない金曜日は2丁目には近づかないの」
プレミアムフライデーを提唱したのは経済産業省である。毎月末の金曜日、午後3時頃に仕事を切り上げて会社を後にすることを推奨。働き方改革を兼ねながら消費を喚起しよう、という目論見だ。それを受け、ある居酒屋は通常より早い午後3時に開店して割安価格で酒を提供するサービスを計画。金曜の夕方に出発するプランを用意した旅行会社もあった。無論、一番肝心なのは、早めの退社を促す会社の数だが、推進協議会によると前日時点で130社。いささか寂しい数字と言わざるを得まい。
2月24日当日、安倍晋三総理は午後3時過ぎに首相官邸を後にして、禅寺で座禅。世耕弘成経産相は渋谷の百貨店でカーリングに興じ、プレミアムフライデーのPRに努めた。消費喚起が目的なのに座禅とカーリング。ずいぶん安上がりな過ごし方をしたご両人、本当にこのイベントを盛り上げる気があるのだろうか。
「企業側から聞こえてくる声は“ふざけるな”というものが圧倒的に多い」
と、経産省担当記者。
「月の頭の金曜日ならまだしも、月末のクソ忙しい“締め日”に3時で帰れとは、いかにも何も実態が分かっていない役人仕事だ、としてブーイングが起こっているのです。だいたい、3時に会社を出て飲みに行ったり買い物に行く人はごく一部で、家庭のある人は家に帰ってのんびりするんじゃないでしょうか」
多くのサラリーマンがすぐに帰宅してしまった影響なのか、あの日は普段の金曜日より歓楽街の人出が少なかったとの証言は多く、
「お客さんの数はいつもの金曜日の3分の1くらい。だって、午後3時退社にしたら、それはもうサラリーマンにとって3連休みたいなものでしょう? 今後は仕入れの量を考えないといけないね」(新橋の寿司店)
「明らかにいつもの金曜日よりお客さんが少なかった。政府が期待していることと結果があべこべになっているんじゃないですか?」(新橋のやきとん屋)
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