女性飼育員の気道に牙…ライオン・ナナの“野生の証明”

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■“餌をくれる人”

 もともと、ナナは2004年、雄のカイとともに多摩動物園から譲り受け、14年4月にカイが死亡してからは小諸市動物園にとって唯一のライオンだった。

 五十三次どうぶつ病院の北澤功院長によれば、

「ライオンは必ず間接飼育を行い、人間が同じ空間を共有することがあってはなりません。今回の場合、何らかのミスで女性飼育員が同じ空間に居合わせ、驚いたライオンが反射的に襲ってしまったのではないでしょうか。もし食い殺そうとしたのなら、一撃で止めを刺されていました。女性飼育員は2年間担当し、多頭飼育ではなかったこともあり、そのライオンは懐くまでいかなくとも“餌をくれる人”という認識をしていたはずです」

 では、実際にライオンに噛まれたことのある女優の松島トモ子さんの話を聞いてみよう。

「もう、31年前になりますが、ケニアでラクダの肉にむしゃぶりつく7頭のライオンを取材中、そのうちの1頭に襲われました。“ライオンは内股で歩くんだ”なんて見ていたら、突然、頭に激痛が走り、気を失った。いまから思えば、私を殺すつもりではなく、単にじゃれついただけかもしれません。ですが、たとえ動物園で飼育されていても野生の本能は消えないでしょうし、手なずけて安心できるような動物では決してありません」

 ちょっとじゃれつかれただけでも、人間にとっては命にかかわる一大事なのだ。

週刊新潮 2017年3月9日号掲載

ワイド特集「春の嵐おさまらず」より

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