羽生結弦に「強敵」、三原舞依に「難病」 日本フィギュアに聳え立つ壁
世界一はユズりません!!
平昌五輪まで1年。そろそろメダル予想の花が咲き始める頃だが、期待のフィギュアスケートはどうか。男女の注目、羽生結弦と三原舞依の前には、片や「強敵」、片や「難病」という壁が聳え立っているという。
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2月19日に閉幕した今年のフィギュア「四大陸選手権」。世界選手権などに比べて地味なこの大会に、例年より注目が集まったのにはワケがある。
「今年の開催地は韓国・江陵(カンヌン)。このアリーナで来年五輪のフィギュア競技も行われる。オリンピックの前哨戦と位置づけられ、各国とも有力選手を送ってきたのです」(スポーツ紙デスク)
男子の注目はもちろん五輪連覇を目指す羽生結弦(22)。今シーズンも好調を維持していたから、優勝の確率は高いと思われていたが、結果は銀メダル。アメリカの17歳、ネイサン・チェンが4回転ジャンプを2日間でまさかの7回も成功させ、金をかっさらっていったのだ。
「今回の大会を見た限りでは、正直、羽生選手よりチェンの方が一歩リードしているな、と思いました」
兜を脱ぐのは、元プロスケーターの佐野稔氏である。
「チェンの強みはもちろんジャンプ。4種類の4回転を跳ぶことが出来る。対して羽生くんは3種類、宇野昌磨選手もこの大会で3種類目を組み込んだばかり。武器がひとつ多いに等しく、この差は大きい。少し前までは、私も羽生くんが3種類の4回転をきちんとこなして滑りきれば平昌も勝てると思っていました。しかし、彼もあと1年で4種類目に取り組むべきかもしれません」
金メダリストにプログラム変更を強いる。そんな驚異の17歳は中国系。今季シニアデビューし、一気にトップ選手となった。「伸び盛りの年齢」(先のデスク)であることを考えあわせても、羽生の連覇に「暗雲」が垂れ込めてきたのは間違いないのだ。
■車椅子生活
一方、女子において、「躍進」の17歳となったのは、日本の三原舞依である。エースの宮原知子が怪我で欠場し、日本勢の惨敗が予想される中、初日4位からの逆転優勝を飾ったのだ。
先のデスクが言う。
「彼女は神戸在住。ほとんどマークされていませんでしたが、よく知られているのが、病気との闘いです」
三原を襲ったのは、「若年性特発性関節炎」。簡単に言えば、若年性のリウマチで、厚労省が「難病」指定している原因不明の病だ。
「三原は一昨年の12月に入院。その間は立てずに車椅子生活で復帰まで4カ月。退院後も毎月通院し、薬を飲んで治療しています」(同)
「栗原隆ウェルネスクリニック」院長でスポーツドクターの栗原隆氏に聞くと、
「発症率は10万人に1人の非常に珍しい病気。重い場合は、関節の痛みや、リンパの腫れ、発熱が続き、発疹が身体中に現れることもある。この場合はステロイド系の治療薬が用いられますが、ドーピングに引っかかる可能性もありますし、免疫低下、筋肉量の低下も起こる。軽度にしても、いわゆる『難病』で完治が難しく、治療も続けざるをえないのです」
リンクに立っていることが奇跡的と言うのである。
再び先の佐野氏が言う。
「羽生選手はライバルの出現で闘志に火が点きましたし、三原さんも安定感が武器なだけに、逆に言えば、プログラム次第でまだまだ点数を伸ばす余地がある」
壁が高いだけ物語は陰影を濃くするもの。1年後、同じリンクで2人が首にかけるのは、果たして「何色」のメダルか、あるいは――。
ワイド特集「早春の椿事」より