激化する「保活」事情 偽診断書でポイント稼ぎ、偽装離婚の裏ワザも
■芸能人も狂奔! 偽診断書からアリバイ会社利用まで「保活」の裏ワザ一挙公開(上)
近頃、認可保育園に子どもを預けるための「保活」が熾烈を極めているという。おかげで都市部の母親たちは、各自治体が独自の基準によって定めたポイントを獲得するために狂奔する日々。さて、偽診断書からアリバイ会社利用まで、その裏ワザを一挙公開しよう。
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「保育園落ちた日本死ね!」の匿名ブログが、世間の注目を集めたのはちょうど1年前。少々下品な物言いじゃないかと思った人も少なくないだろうが、一方で、「保活」に励む母親たちの共感を得たのも事実であろう。
今年も1月末から2月末は、各自治体から認可保育園の入園(4月〜)の可否を知らせる通知が届く時期である。
2015年に結婚、同年8月に男児を出産した、ものまねタレントのおかもとまり(27)は、2月16日、自らのブログに〈保育園の通知。〉と題し、こう書き込んだ。
〈来ましたー。昨年、全落ちした保育園。今年は、、、保留。ってことは二次募集の結果次第ということですね。。今年こそは、同じ年の友達たくさん出来るかなと思っていましたが。(中略)待機児童って言葉が身に沁みます。苦笑〉
現在、二次募集の結果待ちとはいえ、2年続けて一次募集に落ちるとはお気の毒。そして最後にこう綴る。
〈それでも落ちるってことは、もっと保育園に入るべき子がたくさんいるんですね。世のママ尊敬です。そして、待機児童ママ、がんばりましょうね 笑〉
相変らず芸能人も巻き込んだ“保活狂騒曲”が繰広げられているのだ。
■入園はポイント制
厚労省が昨年4月時点でまとめたデータによれば、保育園に入れない待機児童は2万3553人。また、潜在的な待機児童は約6万7000人だという。
「年齢別に見ると、待機児童は0〜2歳の低年齢児が多く、その中でも1〜2歳児が最も多い1万6758人いて、全体の71・1%を占めています。都道府県別では、東京都が8466人と断トツ」(厚労省雇用均等・児童家庭局保育課)
保育園には、国が定めた設置基準を満たし、各都道府県知事に認可された認可保育園と、そうではない認可外保育園がある。
保育料が安く、施設も一定水準以上にあるのは、認可保育園で、希望者も殺到する。
ただし東京都には、認可保育園と認可外保育園の格差をなくすため、独自の設置基準で作られた「認証保育園」がある。
認可保育園への入園の可否は、各自治体が独自に定めたポイント制によって決まる。これは、その家庭にとってどれくらい保育園への入園が必要かを数値化したもので、ポイントの高い人たちから入園が認められる仕組みだ。保活に詳しい東京都市大学の猪熊弘子客員准教授によると、
「1990年代にコネなどをなくし、公平性を期すために始まった制度です。都市部への一極集中が強まり、認可保育園への希望者が殺到。10年くらい前から各自治体がポイント制の基準を公にするようになったのです」
■点数配分は…
では、日本一待機児童数が多い世田谷区のケースを見てみよう。同区の担当者曰く「昨年入園した児童の選考指数分布を見ると、109点が一つの目安」だという。
例えば、夫婦がフルタイム(週5日以上勤務し、かつ週40時間以上の就労を常態)で働いている場合、一人50点ずつで計100点。「就労実績が1年以上」だと、2点ずつ。産休や育休が明けて復職する予定の場合は5点加点される。逆に就労日数・時間が短くなるほど点数は低くなる。パートタイマーで週3日、計16時間働いた場合は20点といった按配だ。
この他、同居の65歳未満の祖父母や親族が保育をサポートできる環境にあれば6点減点、専業主婦で自宅で保育をしている場合も6点減点などと、じつに細かくポイントが定められているのだ。
「少し前まで、認可保育園に入るため、会社の上司から役所の担当者宛に手紙を書いてもらったという話はよく聞きました。その人がどれだけ会社にとって重要で、子どもを保育園に預けないといけないか、と訴えてもらうのです。しかし、最近は選考を厳正に平等に行うため、手紙も受付けないそうです」(保活に詳しいライター)
■偽診断書、偽装離婚も
そこで“裏ワザ”を使う者が出現しているという。保活を経験した30代の母親が証言するには、
「事前に認可外保育園(無認可保育園と認証保育園)に子どもを入れていた経歴がある世帯は、保育の必要が認められて加算の対象になります。実績作りのため半年や1年間、高い保育料だけを支払い、実際は家で子育てしている母親もいます。裏ワザとしては、一番手っ取り早い方法でしょう」
これは、認可外保育園にきちんとお金を払うわけだから合法的手段だと言える。しかし、かなり“ヤバい”手段もあって、
「役所に鬱病などの偽診断書を出す人もいます」
と、この母親が続ける。
「フルタイムの共働きであれば最高点数なので、偽装の必要はありません。しかし、母親がパートタイマーや主婦だと、ポイントが著しく低くなる。そこで、精神疾患の診断書を偽造し、ポイントをアップさせようというのです」
生活保護を受けるために偽診断書を出すのと同じ発想だが、
「一人親世帯は入園の優先順位が高いため、一緒にいても離婚届を出す偽装離婚までする夫婦もいるそうです。一人親で、祖父母が同居していない場合は更に加算ポイントが高いため、シングルマザーで育てているように偽装するのです」
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特集「芸能人も狂奔! 偽診断書からアリバイ会社利用まで『保活』の裏ワザ一挙公開」より