日本デビュー「多国籍アイドルグループ」の台湾美少女を辱めた「中国タブー」
台湾大統領選の結果を左右した大事件
日本・韓国・台湾3か国の美少女9人組からなる多国籍アイドルグループ「TWICE」が、6月28日にベストアルバム「#TWICE」でもって、日本デビューすることが決定した。
「TWICE」は2015年10月に韓国でデビュー。瞬く間にスターの階段を駆け上がり、同国で数多くの音楽賞を獲得。満を持しての日本上陸に、国内外のファンの期待も大きいようだ。
しかし、じつは昨年1月、最年少メンバーの周子瑜(ツウィ)が、日本デビューはおろか、アイドル生命すらも絶たれかねない辱めを受けていたという。
この事件にいち早く注目し、自身のマンガ作品『マンガで読む 嘘つき中国共産党』でその背景を詳しく解説した中国人漫画家・辣椒さんに話を聞いた。
「昨年1月15日に発生した〈周子瑜国旗事件〉は、翌日に行われた台湾大統領選挙の帰趨にも大きな影響を与えたと言われる大事件です。
発端は、周子瑜が韓国のテレビ番組に出演した際、小さな台湾の国旗(青天白日満地紅旗)を持っていたことでした。それが〈台湾独立を主張した〉と中国のネットで糾弾されて大炎上したのです。
“一つの中国”を標榜する中国共産党にとって、“台湾独立”は最大のタブー。中国での活動禁止や不買運動を怖れた韓国の芸能事務所は、周子瑜にカメラの前での“公開謝罪”を強要しました。
すると、今度は台湾側の人々が大激怒。一気に台湾ナショナリズムが燃え上がり、翌日に行われた大統領選挙で、“独立路線”を掲げる民進党・蔡英文を当選させる一因になったと言われています。
日本では、ちょうどSMAP解散騒動のタイミングと重なったせいか、さほど注目を集めませんでした。しかし、この事件は中台関係の難しさを象徴するものであり、私は日本の皆さんにもぜひ知ってもらいたいと考え、自分のマンガで詳しく解説しました」
事件の黒幕となった“密告屋”
「この事件が複雑なのは、周子瑜を先頭に立って糾弾したのが、大陸を拠点に活動する台湾人歌手・黄安だったことです。
歌手としての人気も実力もいまひとつの黄安は、大陸での仕事と人気を得るために、自らが“台湾独立反対派”であることを必死にアピール、一方で他の台湾出身の著名人に次々と“独立派”のレッテルを貼り、ネットで告発する活動を始めたのです。
周子瑜もその毒牙にかかりました。そもそも彼女が出演していたのは韓国のバラエティ歌番組ですし、しかも問題となったシーンでは台湾の国旗だけではなく韓国の国旗も一緒に振っていました。彼女に台湾独立を主張するつもりなどなかったことは明らかですが、黄安は難癖をつけて、ネットで周子瑜批判を煽動したのです。
“密告屋”の黄安が許せないのは当然ですが、中国側の圧力に簡単に屈して、何の罪もない当時16歳の少女を“公開謝罪”で辱めた韓国の芸能事務所も許しがたい。
金と力に物を言わせて隷従を迫るような中国の圧力に、周辺国はもっと毅然とした態度で立ち向かうべきです。TWICEには、中国と対峙する日本・韓国・台湾という3つの民主主義国の紐帯として、ぜひ頑張って欲しいと思います」。