朝日「天声人語」、裏取りなしのトランプ逸話を掲載

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■トランプ氏お得意の…

 現地で40年以上、高級物件を専門に扱ってきた不動産屋の店主が後を受ける。

「私はマールについて詳しく知っていますが、トランプが先に砂浜を買っていたなんて話は聞いたことがない。だいたい、パーム・ビーチ(マールのある地域)は建築基準がとても厳しく、醜い家を建てるなんて計画は通らないはずです」

 また、先のワシントン・ポストから約1年後の米誌「ヴァニティ・フェア」にはこんな記事が出ている。

〈トランプはマールの買収が成立するまでは海岸を購入していない〉

 さらに、不動産取引記録が閲覧できるフロリダ州の公式サイトを確認すると、トランプ氏のパーム・ビーチでの不動産取引は、いずれも1985年12月27日。

 これらの情報から判断すれば、マールを安く買う「ディール」のために、事前に近くの砂浜を買って嫌がらせをしたという「トランプエピソード」は、まさに彼が得意とする「大風呂敷」だったことになる。

 朝日新聞社論説委員室の弁明。

「天声人語は多種多様なテーマを取り扱っており、取り上げる事実と、その情報の出所や経路は多岐にわたります。執筆の詳細な経緯については通常お答えしておりません」

 結局、トランプ氏の発言をファクトチェックしたのかについては答えずじまい。

 裏取りなき報道を、世間では「前のめり」と言う。

週刊新潮 2017年2月23日号掲載

ワイド特集「ああ無情」より

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