五輪アイスホッケー美人姉妹 “分離”教育法を母が明かす
いつの時代も、親にとって子は掛け替えのない宝であると同時に悩みの種でもある。「保活」なる保育園入園活動に奔走しなければならない昨今であればなおさらだ。いかにして我が子を育てるべきなのか――。子育て、孫育てに懊悩し、「答え」を探している諸賢に、スポーツ界からひとつのヒントがもたらされた。以下は、美人姉妹を五輪に導いた家庭の教育術の検証。
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床亜矢可選手(日本オリンピック委員会公式HPより)
〈アイホ娘 1号五輪〉(スポーツ報知)
〈やったぁ 平昌 日本勢一番乗り〉(東京中日スポーツ)
2月13日のスポーツ紙各紙には、こんな大見出しが躍った。アイスホッケー女子日本代表、愛称「スマイルジャパン」がドイツに勝利し、来年に控えている韓国・平昌五輪の出場権を、他競技に先駆け、日本勢として最初に獲得したのである。アイスホッケー界は、その愛称通りのスマイルに包まれたわけだが、とりわけ笑いが止まらなかったのは、この家庭であろう。
床(とこ)一家。長女の亜矢可(あやか)(22)と次女の秦留可(はるか)(19)がともに女子代表に名を連ね、ふたり揃って平昌五輪に出場する見通しとなったのである。
彼女たちの父親も元男子代表で、アイスホッケー界のエリートとでも言うべき床姉妹。だが、ふたりの所属チームの八反田(はったんだ)孝行監督曰く、
「性格は好対照です。姉はしっかり者で闘志を前面に出すタイプ。妹はマイペースで勝っても負けても飄々としています」
こうしてタイプの違うふたりは、どのように五輪選手に育て上げられたのか。
■「正しく完璧」
「亜矢可はディフェンダーで秦留可はフォワード。ポジションも違いますが、確かに性格も違います」
と、母親の栄子さん(49)が説明する。
「姉は普段テキパキしていますが、妹はおとなしい。食べ物の好みも亜矢可は肉好きで、秦留可はフルーツが大好き。趣味も姉は読書ですが、妹はもっぱら野球やアメフトなどのスポーツ観戦と、バラバラです」
そんな個性が「分離」した長女と次女を、栄子さんはこう教育してきたと語る。
「亜矢可はうるさいほどに厳しく躾(しつ)け、秦留可は褒(ほ)め上げて育てました。自覚的にやったわけではないんですが、秦留可は褒めるといつもニコニコしていたので、『何となく』そうやって育ててきたんですよね」
この無自覚な「姉妹別教育」について、
「長女には厳しく、次女には優しくという教育方針は、とても正しく完璧です」
と、それこそ褒め上げるのは、「東京家族ラボ」主宰で子育てに詳しい池内ひろ美氏だ。
「アスリートに限らず、一般的に長女と次女にはそれぞれ特徴があります。まず、妹は生まれた時から傷つきやすい。どんなに頑張っても、身長でも体力でも知力でも敵わない姉が存在するからです。そんな妹を親が叱ってばかりいたらさらに傷つき、心が折れてしまいます」
対する長女は、
「幼い頃から『あなたはお姉ちゃんなんだから』と、母親代わりの役割を求められます。こうしてリーダーシップが育(はぐく)まれるわけですが、そうした姉という存在を親が褒めて甘やかしては、責任感やリーダーシップを潰してしまう」(同)
我が子、我が孫も、床家にアヤカりたいと考えるのは、ハルカなる夢か――。
ワイド特集「ああ無情」より