英国メイ首相、ファッション誌「ヴォーグ」表紙に 狙いは

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 故サッチャー元首相が“鉄の女”と呼ばれたのに対し、英国2人目の女性首相となったテリーザ・メイ(60)の異名は“氷の女王”。馴れ合いを良しとせず、自分を表に出さないから、といわれるのだが、そんな彼女が世界的ファッション誌「ヴォーグ」の表紙を飾る。こちらは“英国のオシャレ番長”としての面目躍如?

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英国のオシャレ番長(写真:Controller of Her Majesty’s Stationery Office/Wikimedia Commons)

 還暦とは思えぬ、ヒョウ柄のパンプスに革パンツ……そのファッションは首相就任前から、英国では話題になっていたという。

「ファッション大好きを公言していましたからね。2014年のBBCラジオの取材で、無人島に一つだけ持って行けるとしたら? との問いに、“『ヴォーグ』の生涯購読”と答えたほどですから」(在英記者)

 だが、首相就任後はそのファッションにも風当たりが強くなっているという。

「就任直後にはタブロイド紙が“ついてきな!”といった高圧的なタイトルでヒョウ柄パンプスを1面トップに。革パンツも995ポンド(約14万円)することから、前教育担当大臣のニッキー・モーガン女史に『結婚衣装以外にあんな高価(たか)い物つけたことがないわ!』とやり玉に挙げられていました。いまでは英国のイメルダ夫人なんて別名も……」(同)

■独自性はない!

 ファッション評論家の堀江瑠璃子氏はこう分析する。

「膝丈のブーツを履いているときもありますが、メイさんは身長が高く脚もスラッとしているので似合いますね。ファッションの基本は欠点を隠し、長所を強調することですから、その意味でとてもオシャレです。派手な色使いや奇抜な柄が話題になる一方で、意外に形はクラシカルなモノが多い。コートもシンプルですし、クラシックだけれども、今を感じさせるモダンなアレンジこそ、『ヴォーグ』の特徴でもありますから。また『ヴォーグ』はキャリアウーマンから支持されている雑誌ですから、“キャリアの星”としても彼女はピッタリ。そこに目をつけてオファーした、米国版のアナ・ウィンター編集長のセンスも流石です」

 メイ首相が表紙を飾る「ヴォーグ」4月号は米国版で、英国版ではないのだ。

「英国版に出ても、彼女が英国政界のファッションリーダー的存在であることは、みな知っていますからね」

 とはエコノミストで同志社大学教授の浜矩子氏だ。

「いま英国はEU離脱問題に加え、米国のトランプ大統領への対応も考えなければならない重大な局面を迎えています。英国の外交史を見ても、これほど難しい時代は中々ありません。そんな中で米国版『ヴォーグ』に載ることは、世界に対して“英国が米国で持て囃されている”と国内外に向けアピールするためではないでしょうか」(同)

 さすが氷の女王、考えあってのご出演のようだが、

「むしろ見え見えで、逆効果になりかねません。彼女は1月17日の演説で“グローバル・ブリテンを目指す”と言っていますが、これでは米国にすり寄っているように見られて、国内から批判を招きかねません。EUサイドからも姑息なことをやっている、と思われるのではないでしょうか。彼女のファッションはドイツのメルケル首相と比べても積極的に色んな服を着ようとしているという印象です。しかし、意外に独自性はない。『ヴォーグ』がお手本ですから、権威主義的な感じもします。本当にファッションが好きなら、冒険心や探究心を持ってもいいのではないかと思いますけど」(同)

 政治家のオシャレは難しい。ね、日本のセンセイ方。

ワイド特集「女という商売」より

週刊新潮 2017年2月16日梅見月増大号掲載

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