“生前退位”も“ワイン”も…御厨氏の華麗なるヒストリー

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“オーラル・ヒストリー”の第一人者、御厨貴氏。老舗に新風を吹き込めるか

 東大名誉教授にして、復興推進委員会委員長代理を務めた経歴を持ち、昨年からは天皇退位を巡る有識者会議の座長代理。そして“オーラル・ヒストリー”の第一人者、御厨(みくりや)貴氏(65)に、風変わりな肩書が加わる。

 今春、サントリーホールディングスの社外取締役に就任することになったのだ。

 経済紙記者が言う。

「新聞記事を見て一瞬、同姓同名の別人かと思いましたよ。今回の人事では同時に、サントリー唯一の社外取締役の退任も発表されましたが、彼女はもともと外資系証券会社の社長経験もある、いわば経営のプロです。形としては、その代わりに御厨さんが入るわけですが、政治史には詳しいかもしれないけど、会社経営は素人。いったいどういう狙いで迎えられたのか、業界で話題になっています」

 もっとも、御厨氏とサントリーとの縁はないわけではない。1996年には著書『政策の総合と権力』でサントリー学芸賞を受賞。2010年からは同賞を主催するサントリー文化財団の理事も務めている。

 が、この意外な人事に、彼の知人は、

「御厨さんは大の酒好き。ビールは毎晩飲むし、特にワインには詳しく、しょっちゅう自宅に友人を招いては、ワイン会を開くほど。その線で打診されたのか、なんて思っていました」

 さて、ご本人の語るサントリー、いや、ヒストリーは――、

「たしかにワインやビール、他のお酒も大好きですけど」

 と笑った上で、

「昨年10月にホールディングスの副会長で財団の理事長でもある鳥井信吾さんに内々に誘われたんです。『財団と本社がもっと連携して、文化事業を強化したい』と言われてね。もし他社だったら遠慮したかもしれませんが、サントリーさんの文化事業には昔から関わっています。それだったら力になれるかもしれないと思い、お引き受けすることにしたんです。有識者会議もひとまず手を離れましたしね」

“引っ張りだこ”はまだ続きそうだ。

週刊新潮 2017年2月9日号掲載

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