「この世界の片隅に」思わぬヒットで前作にも注目
上映館は200以上に広がり、興行収入はまもなく20億円に届く勢いのアニメ映画「この世界の片隅に」。予想以上のヒットで、片渕須直監督(56)の前作「マイマイ新子と千年の魔法」が注目を浴びるという嬉しい“珍事”が起きている。
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「新宿ピカデリーでの再上映会は1月8日に232席、20日には同館最大の580席のスクリーンで行われ、両日とも満席」(映画記者)
作家、高樹のぶ子さんの自伝的小説「マイマイ新子」が原作。昭和30年代の山口県防府が舞台で、小学3年生の新子と東京からの転校生らとの日常が生き生きと伝わってくる。
「2009年に松竹の配給で公開された時には宣伝不足で興行的には不振でした。ところが、心を揺さぶられた観客が作品の良さを広めたことで上映会を開く映画館が現れたりと、長く愛されてきたのです。『この世界の片隅に』同様、日常を丁寧に表現している」(同)
小規模で続いてきた再上映に転機が。松竹がデジタル映写に対応できるしくみを整えたのだ。
「7年以上前の映画に対し、新たに費用をかけて再上映の環境を作るのは珍しいことです。こうして全国の映画館で広くアンコール上映が行えるようになった」(同)
映画作りに私財を投じるあまり、近年でも家族4人、1食100円で暮らしたこともある片渕監督。日本大学芸術学部に学び、宮崎駿監督の「魔女の宅急便」では演出補を務めた実力派だ。
「現地を訪ね人と会い、徹底して取材する監督です。だから映画に説得力があり、観ているうちにその時代を一緒に過ごしているような気持ちになります」(同)
2月11日には、横浜ニューテアトルにて「片隅」「新子」の両作が連続上映される。