井伊美術館の怪しい館長が唱えている「井伊直虎は男説」

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金箔を貼りつけた

 古びた木の箱に、もっともらしい書き付けを貼りつけて兜を入れていたという証言もある。なかでも怪しいと言われているのが“伝徳川家康”の兜。この兜は、昨年4月30日に放送された「嵐にしやがれ」(日テレ系)にも登場し、メンバーの二宮和也が被って喜んでいるシーンが放送された。宣伝効果は抜群である。

「あれはもともと地味な兜でした。それをスタッフに命じて金箔を全面に貼りつけ、家康の兜と称していたのです」(同)

 そこで当の井伊館長に聞いてみると、

「そんなん全部ウソですわ。うちがよう甲冑を売るもんやさかい、他の業者がやっかみで言うとるんに決まってます。そもそも私は甲冑の研究と商売は別にしてる。私は美術館の中では商売の話は一切しない。家康の兜だってベースになっている兜はしっかり本物です。金箔は剥がれてしまうから、修復としてうちが直しましたけど、それはどこでもやってることです。皆にニセモノに気を付けろと言うてんのは、むしろ私の方ですよ」

「直虎=男説」についても新たな史料があると井伊氏は言うのだが、「金箔」を貼りつけたような新説は、むしろ怪しさが増すのである。

週刊新潮 2017年2月2日号掲載

ワイド特集「大寒のただ中にある身の廻り」より

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