新春ドラマ、大人の鑑賞に堪えるのはこの作品！　TBS「カルテット」ほか

“タラレバ娘”は…

　最後に、アラサー女の生態を描かせたら唯一にして無二と思われる東村アキコ原作の漫画を基にした「東京タラレバ娘」（日テレ）。吉高由里子、榮倉奈々、大島優子（全て28）が演じるが、吉田氏は手厳しい。

「女子に鉄槌を下しつつ、叱咤激励する原作は大好きです。でもドラマでは登場人物の年齢を33から30に落とし、マンション暮らしで仕事のある脚本家からボロアパート住まいの売れない脚本家に変えた。33の女がもつ経験値を取っ払い幼稚化してしまったわけで、それにこのキャスティングでは重さが全くなく、バカでユルフワな傷のなめ合い話に成り下がった」

　都会における女子のサバイバル劇のエッジが取り除かれた恰好だが、裏返せば、

「原作を読んでいなければ1時間を楽しく過ごせる。その意味では、エンタメ作品として今クール1番。原作で使われていた、落雷や凍りつくシーンの特殊効果は笑えるし……」（林氏）

　原作愛をこじらせなければ、世相を描く強みを堪能できる。ドラマは世につれ、である。

週刊新潮 2017年2月2日号掲載

特集「『キムタク』『草なぎ』の意地が激突　大人の鑑賞に堪える『新春ドラマ』採点表」より

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