“俳優志望”だった新芥川賞作家「山下澄人さん」の作法
これまでの受賞作家の中でも異色の経歴だという。1月19日、第156回芥川賞に山下澄人さんの『しんせかい』(新潮7月号) が選ばれた。
山下さんは兵庫県神戸市出身の51歳。神戸市内の高校を卒業後、脚本家の倉本聰氏が主宰する「富良野塾」の2期生として門を叩く。担当編集者が言う。
「ブルース・リーや高倉健になりたくて、もともとは俳優志望だったそうです」
1996年には自身の劇団「FICTION」を立ち上げたのだが、意外な転機が訪れる。
「演劇畑の山下さんが小説を書くきっかけになったのは、劇場に見に来ていた平凡社の営業部の方が“書きませんか”と声をかけてきたことでした」(同)
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