韓国が目論む「竹島に慰安婦像」は時間の問題 日韓は戦後類を見ない“決裂状態”に

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日韓関係は、悪化の一途を辿るばかり

 ヤフーの検索画面で「断交」と打ってみていただきたい。

「韓国」というキーワードが自動的に表示されるはず。「断絶」と打つと、今度は「韓国 国交断絶」「日本 韓国 国交断絶」。これはサジェスト機能といって、一般的に数多く検索されている語句の組み合わせが表示されるもの。もちろんネット上の世論と現実のそれとは大きな乖離があるものだが、少なくともとてつもない数の日本人が、韓国と交わりを断つことを一度は思い浮かべてキーを叩いていることの証左にはなろう。

 両国の関係は、悪化の一途を辿るばかり。

「日韓合意」に基づき、首相がおわびを表明し、元慰安婦への支援金10億円を支払った日本に対し、韓国側は合意を破り、昨年末、釜山の日本総領事館前に慰安婦像を設置。対抗して日本政府は1月9日、駐韓大使を日本に引き上げさせ、スワップ(通貨交換)協議も中断した。すると、お返しとばかりに、韓国サイドによる竹島への慰安婦像設置案が本格化し始めたのだ。

「この動きは京畿道という、日本で言えば『〜地方』に当たる地域の議員34人が始めたもの。今年12月の設置を目指し、1月中旬から募金を始めています」

 と説明するのは、さる在韓ジャーナリストである。

「これは二重の意味で異常極まりない。釜山やソウル大使館前の像を設置したのは、あくまで慰安婦支援の市民団体でした。しかし、今回の場合は、地方とはいえ、歴とした公職者が始めていること。何よりメチャクチャなのは、慰安婦問題と、それとまったく無関係の領土問題とをドッキングしたことです。問題解決などまったく頭になく、単に感情剥き出しの『反日』という一点のみを目指した行動です」

 これまでの慰安婦像設置の動きも腹立たしいが、それとは段階が完全に異なる“愚行”が始まったワケだ。

■安倍総理の怒り

ソウル日本大使館前の像

「この一連の動きに怒髪天なのは安倍総理です」

 と事情を明かすのは、さる官邸関係者。

 5年前、当時の李明博大統領が竹島に上陸した際も、日本政府は同じく大使を帰国させたが、12日間でソウルに戻した。

「今回も外務省は“業務が滞る”ことを理由に、それと同じくらいの期間での帰任を念頭に置いて、官房長官や幹事長など、官邸や党の実力者に根回しをしていたのです。“親韓派”の二階さんはもちろん、菅さんもこれに理解を示していたのですが、17日に5日間の外遊から戻ってきた安倍総理は“ありえない”との方針。その剣幕に早期帰任論は一気に萎んでしまったのです」(同)

 その総理は周辺に対し、こう気色ばんでいるという。

「10億円ですよ。それなのにこんなことをしてきた。政治は結果を出すことが重要で、自分もやることをやってきたのにね……」

 先の関係者が続ける。

「もともと総理は韓国の“ちゃぶ台返し”の繰り返しに嫌気が差していたというのもありますが、何より今回の措置の後に行われた世論調査で内閣支持率が上がったことの影響が大きい。ほとんどのメディアの調査で5ポイント以上のアップで、総理は原因が韓国への強硬な対応にあると見ている。逆に言えば、早めの帰任を許してしまうと同じだけの批判が自分に跳ね返ってくるということ。少なくとも竹島の問題を含めて韓国が何らかの誠意を見せない限り、総理が大使帰任を許すことはないでしょう」

 もっとも、かの国は朴槿恵大統領への弾劾訴追案が可決し、トップの不在状態が続いている。一度火の点いた「反日」機運を収められる人などいないし、新政権が誕生したとしても、竹島への建設に歯止めをかけられるかどうかは疑わしい。

 元駐韓大使の武藤正敏氏は言う。

「仮に政府が像建設を止めようとしたとしても、世論によってそれは簡単に覆される。それが情の国・韓国の恐ろしさです。私の数代前の大使が『竹島は日本領』と当然のことを言っただけで、ものすごい抗議デモに晒され、仕事が出来なくなったことがある。9割方、竹島には慰安婦像が立つことになるでしょう」

 かくして互いの「世論」を背景に日韓関係は硬直。今年の両国は、戦後類を見ないほどの“決裂状態”に陥ることは間違いなさそうだ。

特集「竹島に『慰安婦像』は時間の問題! それでも韓国と仲良くしないとダメなのか?」より

週刊新潮 2017年2月2日号掲載

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