“新天皇即位は2年後の元日”報道で官邸vs宮内庁の攻防
2019年1月1日。皇太子さまが天皇に即位し、新元号に切り替わる――。
産経新聞が1面トップでこう報じたのは1月10日のこと。その翌日から大手各紙も追随し「平成のピリオドは18年の大晦日」で決まりか、と思われた。しかしながら僅か1週間後、事変わるように宮内庁の定例記者会見で西村泰彦次長が「元日は祭祀が多く、難しい」と、一転否定したのである。
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「官邸と宮内庁の攻防戦が垣間見えましたね」
とは、官邸担当記者。
「事の発端は6日。安倍首相は菅さん、杉田さん(官房副長官)と新天皇の即位、そして元号の切り替え時期について協議しました。そこで3つの案が提示されたのです。1つ目が、19年の3月末。そして2つ目が18年の天皇誕生日。そして最後が19年の元日プランだったのですが、最終的に安倍さんが『キリがいいし、国民生活にも迷惑がかからない。元日が一番いいんじゃないかな』と結論付けたのです」
そうやって官邸主導で進む議論にくちばしを挟めず、臍(ほぞ)をかんでいたのが他ならぬ宮内庁だった。
宮内庁関係者が解説する。
「元日は両陛下とも午前3時半頃には起きられ、宮中祭祀を執り行います。そんな忙しい日に、さらにもうひとつ、大きな行事を設定する余裕はなく、現実的に厳しい。しかしそのことを安倍さんに直接伝えると確実に角が立つ。そこで宮内庁としては、元日説を早めに記事にしてもらって、その“ありえなさ”でもって潰してもらおうとしたんです」
ところが、大きな誤算があった。
「宮内庁側がこの情報を漏らした先は政治部記者らだったのですが、相手を間違えた。つまり、彼らは宮中祭祀に関する知識がなく、疑問を抱かない人たちで、ストレートに書いてしまった」(同)
こうした“攻防戦”の末、現在は18年の天皇誕生日に新天皇が即位し、元号の切り替えは翌年の元日に行うというプランが浮上しているが、果たして――。