世界も揺れるトランプツイッター 戦術か戯言か?

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「お前の母ちゃん、で〜べ〜そ」。怒りに任せ、後先考えずに侮蔑の言葉を口にするのはガキのやることで、分別のある大人は決してしない。しかし、ドナルド・トランプ氏はこのレベルの無思慮な放言をツイッターで度々繰り返している。否、そこには深謀遠慮があるのだと見る人もいるのだが……。

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ドナルド・トランプ氏Twitterより

〈トヨタは、アメリカ向けカローラを生産するためにメキシコのバハに工場を建設しようとしている。ありえない! アメリカに工場を建設しないと、多額の関税を払わせる〉

〈ワオッ、シュワルツェネッガーの視聴率がひどく落ち込んでいる。視聴率マシンのドナルド・トランプと比べてな〉

〈(ヒラリー)クリントンは夫も満足させられないんなら、どうしてアメリカを満足させられると思うんだ?〉

 トランプ氏のツイッターは、この手のつぶやきで満ち満ちている。誰もが、彼は何とかと鋏(はさみ)は使いようの「何とか」ではないかと疑いたくなるところである。しかし、安倍政権の要である菅義偉官房長官は1月4日のBSフジの番組で、真顔でこう述べたのだ。

「実は私、昨年暮れに、トランプ政権に極めて近い方と会談したんです。その人が言っていたのは、トランプ次期大統領(当時)のツイッターは、〈メキシコとの国境に壁を作る〉とか、ただの思い付きではなくて、戦略的に練って、インナーと言われる人たちと戦略・戦術を練った上でのものだと」

■「waite」!?

 要は「チーム・トランプ」が熟慮に熟慮を重ねて、「お前の母ちゃん」と連発しているというのである……。大丈夫か菅サン! との半畳はひとまず措(お)くとして、念のため改めてトランプ氏のツイッターを検証してみると、福井県立大学の島田洋一教授曰く、

「事実関係が間違っているためマスコミに槍玉にあげられ、トランプの周囲がその弁明に追われるといったことが続いています」

 また、外信部記者が後を受けるには、

「内容はもちろん、『wait(待つ)』を『waite』、『quote(引用)』を『qoute』とするなど、綴(つづ)りの間違いが目立つ。米国のエスクァイア誌は、〈もし、トランプが彼のツイートを専門家に見てもらう時間の余裕があれば、彼らは間違った綴りを指摘したはずだ。しかし、それは起こらなかった〉〈つまり彼のツイートは、外交や綴りに詳しい人の目を通ることなく、彼の脳から直接発せられるのだ〉と、分析しています」

 さらに、国際ジャーナリストの堀田佳男氏も、

「一日に何度もツイートしていることから見ても、トランプはツイッターに思うままをつぶやいていて、これこそが彼の本音なんだと思います」

 果たして「70歳のガキ」のツイッターは戦術なのか戯言なのか――。結論は、後世の歴史家の判断を「waite」するまでもなさそうである。

特集「嵐の中へ船出した超大国『トランプ大統領』という魔人の急所」より

週刊新潮 2017年1月26日号掲載

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