「爆買い」終了後の中国人観光客の財布を開くヒントとは 中国ビジネスコンサルタントのアドバイス
観光庁の発表によれば、昨年日本を訪れた外国人観光客は2403万人と過去最高を記録した一方で、1人あたりの消費額は減少傾向にあるという。この大きな原因が、中国人観光客の「爆買い」が減ってきたことだ、というのが大方の見方である。
中国人観光客を相手にする必要なし、という考えの人もいるのかもしれないが、実際に商売をしている人たちからすれば、何とかもっと消費をして欲しい、というのが本音だろう。
そのために、何ができるのか。何をしてはいけないのか。
中国ビジネスのサポートなどに携わっているコンサルタントの岡部佳子さん(すみれナレッジ代表)は、新著『中国人観光客の財布を開く80の方法』で、数々の具体的なアイディアやヒントを提示している。以下、同書にある「やると効果があること」と「やってはいけない意外なこと」を見てみよう。
無料のものは喜ばれる
岡部さんによると、「日本人はすっかり贅沢になって、タダの景品に喜ばない人も多いのですが、中国人は何でも無料でもらえると基本的に喜んでくれます」とのこと。
ただし、どうせサービスで渡すのならば、日本からおみやげとして持って帰ることを考えると、「か・き・く・け・こ」を意識したものを準備すると良いという。
かは「軽いもの」、きは「記念になるもの」、くは「クオリティの高いもの(日本といえば高品質というイメージは強い)」、けは「稀有なもの(日本らしいもの)」、こは「心がこもったもの」。
日本手ぬぐい、竹製のしゃもじやぐい飲みなど和風の小物の他、最近ではゆるキャラグッズも人気だという。
「タダでやって見返りがあるのか」
そんな声も聞こえてきそうだが、彼らはサービスを気に入ればお得意のSNSで拡散するので、PR効果が期待できるのだ。
というのも、彼らがもっとも信用しているのが「身内の口コミ」。中国では新聞やテレビは「公的な情報」なため、信用されていない。そのためSNSという「口コミ」が威力を発揮していたのだが、これもまたヤラセがあることが知れわたってきた。
で、結局、もっとも信用されるのが「身内の口コミ」になったというわけだ。そのため、中国人に何かを売り込みたい場合、来日した人たちに良さを実感してもらい、身内に口コミ(SNSも含む)で広げてもらうのが一番の近道なのである。
タダでも贈らないほうがいいもの
もっとも、気を付けなければいけないのが文化の違い。
中国人の贈り物には避けるべきタブーがある。主な品目は以下の7つだ。
①財布…財布は自分の金庫なので、それを人にあげるのは、財運を逃すことになると言われる(ただし、夫婦や恋人同士ならば問題ない)。
②時計…中国語の「ジョン(時計)」の音が、死を意味する単語と同じなので。
③靴…発音が「邪(シィエ)」と同じで「邪気」を贈ることになる。
④傘…発音が「散(サン)」と同じで「別れ」「離散」を意味する。
⑤梨…発音が「離(リィ)」と同じで、やはり「別れ」を意味する。
⑥蝋燭…葬式、法事で使うものなので縁起が悪い。
⑦刃物類…運気が急に落ちると言われている。
岡部さんは、
「景品として渡したり、イベントの目玉商品を考える際には、これらは避けるべきです。おみやげやプレゼント選びのお手伝いをする時にも、くれぐれもお勧めしないように気を付けてください」
とアドバイスをしている。