自宅に2・5億円…空き巣事件の被害者は「富豪歯科医」

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 現金2億5000万円分の1万円札を積み上げると、高さ2メートル50センチにもなる。そんな大金を運び出すのもひと苦労だが、金庫にも保管せずに置いてあったのも驚きである。正月早々、閑静な住宅街で起きた空き巣事件の被害者とは。

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 千葉県市川市は、かつて北原白秋や永井荷風など文人が居を構え、今でもお屋敷が並ぶエリアがある。その市川の住宅街で空き巣事件が起きたのは、お屠蘇気分が抜けない1月5日のことだった。

〈玄関のカギを締めて外出していたら、2階に置いてあった金庫が1階に移動していた〉

 そんな110番通報があったのは、午後6時半ごろのこと。家の前には、1人のご婦人が茫然と立ち尽くしていた。千葉県警の捜査関係者が言う。

「現場は高級住宅街といわれる一角にある2階建ての一軒家です。この家の奥さんが、3時ごろ出かけ、6時すぎに戻ってきたのですが、1階のリビングにある掃き出し窓が割られていたのです。窓の縁にドライバーのようなものを当てガラスを割って開錠する。いわゆる“押し割り”という馴れた手口でした」

 ご主人は仕事で留守にしていたという。

 警察官が玄関に入ってみると、1人のものと思われる足跡があちこちに。家の中は2階を中心にタンスや引き出しが無造作に開けられており、物色されたものが散乱していた。

 だが、捜査関係者が驚いたのは、その被害額と盗まれた金品である。

■「まったく関係ない」

「まず、現金2億5000万円がそっくり盗まれていたのです。この金は2階の書斎の机の下に、銀行の袋に入れて置いてあった。すべて1万円札でした。同じ袋にはユーロ札、米ドル札、そしてタイ・バーツ札など約1200万円分も入っており、これも無くなっていました」(同)

 さらには机の引き出しの中にあった手提げ金庫(無施錠)から金の延べ棒6本(1本500グラム)も消えていた。金額にして約1400万円である。高級腕時計やネックレス、指輪などの装飾品も宝石箱ごと消えていた。こちらの被害額は約360万円。

「置いてあった現金は仕事で使うためで、年末年始の休みの前に職場から自宅に移していたそうです。また、金の延べ棒は、父親から譲り受けたものと説明を受けています」(同)

 空き巣に入られた家の主は、歯科医(55)である。しかも、コンビニと歯科医院の数が同じと言われるほど競争が激しいご時世にあって、「敏腕」として知られている人物だ。

「あの方は、手広く歯科医院を経営しており、その数は十数カ所にのぼる。従業員も100人近くいます。インプラント手術に定評のある歯科医師が揃っていることでも知られています」(地元の歯科医院)

 それにしても、歯科医とは、常に巨額のキャッシュを手元に置いていないと何かと都合が悪いのだろうか。そこで、ご本人に聞いてみると、

「いやいや、うちはまったく関係ない。(被害にあったのは)別のところじゃないんですか? 家の写真を新聞にまで掲載されて本当に迷惑しているんですよ」

 盗られた「福袋」の中身がよほど都合が悪かったのか。

ワイド特集「最後の福袋を買い占めろ!!」より

週刊新潮 2017年1月19日号掲載

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