流産、不妊治療、帝王切開出産──「実は私も……」経験者の多さに驚愕!
大手出版社で働くA子さんは不妊治療の末、38歳のとき、帝王切開で男の子を産んだ。出産後は体力が落ちたせいか、風邪を引いたらなかなか治らなかったり、ぎっくり腰になったりと大変なこともあったが、幸い保活もうまくいき、家の近所の公立保育園0歳児クラスに滑り込めたのを機に、社会復帰。
復帰してからは、それまであまり話したことがなかった女性社員とも、同じワーママという繋がりが出来、トイレで会ったときなどに互いの子供の話などで盛り上がる機会が増えた。
A子さんは30歳で結婚してから、なかなか子供が出来ず、35歳から不妊治療を開始。タイミング法からはじめ、最終的には体外受精で子供を授かったが、2年半あまりの不妊治療中には流産も経験したが、不妊治療をしていること自体、友人や家族にも言えず、迷惑をかける可能性がある直属の上司にしか打ち明けていなかった。
不妊治療中は妊婦を見かけるだけで、自分が妊娠しないことと他人の妊娠に何の関係も無いことを頭では分かっていても、なんだかイライラし涙ぐんでしまうことも。特に流産直後は、自分にはない幸せを、他人がやすやすと手に入れているようで無性に腹が立ったという。
でも念願のママになり、親しくなったママ友に辛かった不妊治療や流産のことを「こんな時もあったんだよね」と話すと、ママ友が「ああ、私も流産したから、その気持ち分かる」と告白。実は、彼女も子供を産むまでに2回の流産を経験していたそうだ。「高年齢出産だとさ、10人に7人くらいはなんかあって当たり前。流産してたり不妊治療経験があったりね。妊娠途中にトラブルがあって自然分娩できなかったのを負い目に思ってる人もいるし。そういうのオープンにする人ってあんまりいないから自分だけ特別な気がしちゃうよね。どうしても子供ほしい人はやっぱり頑張るんだけど、辛いよねー」とサラリ。
A子さんは、自分以外の人は、高齢だろうが自然に妊娠し、悲しい思いをすることもなくあっさり子供を産んでいるように見え、孤独にさいなまれた日々が錯覚だったことを知って、悲劇のヒロインになっていた当時を深く反省した。
高年齢出産の母親は、多かれ少なかれ、A子さんのような思いを抱えて妊活をしている。
まさか自分が不妊だなんて……。治療する? あきらめる?『それでも、産みたい 40歳目前、体外受精を選びました』の著者小林裕美子さんも、同書の中で、画像のように描いている。
高齢出産になればなるほど、成功率も低くなる妊娠出産についてはなかなかオープンに話せない。小林さんはだからこそ、自分の不妊治療中の喜怒哀楽、40歳を目前にして体外受精に踏み切ったときの葛藤、失敗したときの落胆などを描きたかったという。
出産した女性のうち、約7人に1人は35歳以上で第1子を、全体で見ると、3人に1人は高齢出産をしている昨今。
多様な妊娠スタイルをもう少しオープンに話せれば、出産率も上がるのかも知れない。