講談社エリート編集者逮捕 動機は
壁に守られた狭い世界で生きながらえる人類と、壁外を制する巨人との戦いが描かれた漫画「進撃の巨人」。その大ヒット作の生みの親である敏腕編集者が、1月10日、殺人容疑で逮捕された。エリートの夫は、なぜ、妻を殺害し、コンクリート塀に囲まれた壁の中へ、身を落とすハメになったのか――。
事件は、昨年8月9日未明、東京都文京区にある一軒の住宅から119番通報が入ったことに始まる。電話は、今回逮捕された、この家に住む朴鐘顕(41)からのものだった。
速報「娘はフェイク情報を信じて拒食症で死んだ」「同級生が違法薬物にハマり行方不明に」 豪「SNS禁止法」の深刻過ぎる背景
速報「ウンチでも食ってろ!と写真を添付し…」 兵庫県知事選、斎藤元彦氏の対抗馬らが受けた暴言、いやがらせの数々
社会部記者によれば、
「通報は、“自宅の階段下で妻が倒れている”という内容でした。救急車が到着した時点で、仰向けで倒れていた妻は、すでに心肺停止の状態で、すぐさま、病院に運ばれたものの、1時間後に死亡が確認されています」
亡くなったのは、朴の妻・佳菜子さん(38)。死因は窒息と判明したが、警察の現場検証では、当初から疑問符が付いていた。
先の記者が続ける。
「階段付近には彼女が転げ落ちた際に付くとみられる傷が見あたらなかったのです。しかも、遺体の額には傷がありましたが、それだけでなく、頸部に圧迫痕らしきものが薄っすらと残っていました。そのため、事件性が高いと見られ、警察は捜査を続けていたというわけです」
さらに、夫の朴による供述が一貫していなかったことも、疑いに拍車を掛けることとなった。
「朴は、当初、“階段から落ちた”と説明していましたが、やがて“首を吊って自殺した”と供述を変えたのです。ウソ発見器に掛けたところ、疑わしい結果も出ていましたし、外部から侵入した形跡もないことから、状況的に夫による犯行しかありえないと判断したのです」(同)
事件から5カ月。逮捕された朴は、京都大学法学部を卒業し、出版最大手の講談社で勤務するエリート編集者。入社以来15年間に亘って、「少年マガジン」編集部に所属し、「DAYS」「七つの大罪」などの看板作品を担当した。
■“妻が嫉妬する”
それだけではない。2009年には「別冊少年マガジン」も立ち上げ、「進撃の巨人」が大ヒット。昨年6月からは「モーニング」の編集次長に。業界では知らぬ者がいないほどだった。
講談社の同僚が言う。
「担当した作品を次々にヒットさせる、ずば抜けた人でした。ここ3年のアニメ化作品はほとんど彼によるものです。作家への気配りが非常に細かく、作家の奥さんの誕生日も把握していて、プレゼントを贈ったりするんです」
編集者の鑑とも言える評判だが、家庭内では辣腕は振るえなかったようだ。
「浮気をするタイプではないのですが、奥さんとの関係は大変そうでした。打ち合わせの最中に奥さんから些細なことで電話がガンガンかかるんです。必ず電話に出ないと不味いようでした。さらに、担当作家には女性もいますが、“妻が嫉妬するので、全員男性ということにしている”と話していました」(同)
朴には、小学校3年から1歳児まで4人の子供がいる。亡妻のママ友の一人も、
「旦那さんは、ほとんど学校行事に参加はしませんでしたね。奥さんから“3人目の子供が生まれるまで、主人はまったく育児を手伝ってくれなかった”と聞いたことがあります」
逮捕直前、記者が朴に電話すると、そばで泣く子供の声が聞こえてきた。
「話すことはありませんし、話す気分でもないので遠慮しておきます」
子供をあやしながら、朴は、そう答えると、電話を切った。
仕事に夢中になるあまり、家庭を顧みなかった夫。そのことで夫婦の間に高い壁ができ、やがて救いのない衝突につながった可能性が高いのである。