『住友銀行秘史』より面白い著者の「前妻愛人乱脈秘史」

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 ベストセラーの紙背には、本編に勝るとも劣らない「番外編」があった。10月上旬に刊行され、発売から10日間で10万部超を売り上げた『住友銀行秘史』(講談社)。著者で元住銀の取締役だった國重惇史氏(71)は、上梓と並行して自らの“秘史”も刻んでいたのだ。

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ベストセラーに

 同書は、戦後最大の経済事件とされる「イトマン事件」に、3000億円ともいわれる巨額資金が引き出された住銀内部から迫った作品である。

 國重氏は当時、業務渉外部の部付部長でありながら“住銀の天皇”と称された磯田一郎会長はじめ、頭取や重役らの一挙手一投足をつぶさに把握していた。それというのも、

「当時、既婚者だった私が磯田会長の秘書の女性と不倫関係にあったからです」

 とは、本人の弁。のちに離婚し、子どもが生まれたため98年にこの秘書と再婚するのだが、そこから“秘史”の第2章が始まる。

 本誌(「週刊新潮」)は3年前、当時楽天の副会長を務めていた國重氏の「ダブル不倫」を告発する記事を掲載した。2人目の妻と結婚生活を送りながら、40代の既婚女性・佳美さん(仮名)との交際を続けてきた國重氏は、これで役職を辞任するばかりか2度目の離婚も余儀なくされるのだが、何しろ派手な人となりだけあって、すんなりいくはずもない。

「印税がたくさん入ってくると思うかもしれませんが、間にゴーストの方がいまして、私の取り分は5%しかありません」(國重氏)

 それでも、価格は税抜で1800円。すでに13万部に達したというから、懐には1000万円超の実入りが見込めるはずだが、

「実は私のもとには、一銭も残らないのです」(同)

 どういうことなのか。

■差押え合戦

 事情を知る関係者が明かす。

「この本が出てから約2週間後、國重さんは2人目の妻と正式に離婚したのですが、その際、1億5000万円近い財産分与が条件となり、実際に公正証書を作成しているのです」

 のみならず、

「11月下旬には、前妻側の申し立てによって、裁判所から版元に2000万円分の印税の仮差押決定通知が届いてしまいました」(同)

 これが、前出の佳美さんの知るところとなる。

「私も記事が出た直後に離婚し、現在は國重と友人関係にあります。でも、交際が終わった後も復縁を迫られたり暴力を振るわれてきた。國重はその都度、金銭をちらつかせて私をなだめようとしてきました」 

 当の國重氏は目下、最初に支払われた約200万円の印税を個人的な借金返済に充てて一文無し。

「だから私も、遅ればせながら公正証書を作成し、印税の差押えを裁判所に申請し、12月下旬に認められたのです」(同)

 ちなみに前妻側の仮差押えは元日以降、正式な差押えに切り替わったといい、つまりは現在、同書の印税には二方向から差押えが掛かっているというわけだ。佳美さんが続ける。

「弁護士さんに聞くと、前妻側と私の差押え額の比率に従って、今後の印税は支払われることになるそうです。でも、それではあちらが喜ぶばかり。何となく釈然としませんね」

 古来、女性で身を持ち崩した物書きは数知れず。とはいえ、今回ばかりは身から出た錆としか言いようがない。ベストセラー作家は、

「いやあ、女は怖いよ」

 そう呟くばかりだった。

ワイド特集「年を跨いだ無理難題」より

週刊新潮 2017年1月12日号掲載

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