箱根駅伝3連覇、青学監督の次なる野望は「東京五輪」

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 正月恒例の箱根駅伝は、青山学院大が下馬評通りの強さで3連覇を果たした。往路復路ともにV、つまり完全Vでの3連覇は戦後初。同大は今季、出雲駅伝、全日本大学駅伝をも制覇しており、“大学三冠”も同時に達成。“3連覇&三冠”は史上初の快挙である。

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過去には6連覇の例もあるが(写真はイメージ)

「実を言うと、青学は今回、往路の負けを覚悟していた。というか、誇張して言うと、わざと負けるかのような布陣を敷いていたんです」

 と大手紙陸上記者が語る。

「普通にやったら圧勝して面白くないので、往路で負けて、復路での劇的な大逆転劇を画策していたようなんです。ちなみに、今秋の出雲は最終区の一つ前で逆転、全日本も最終区で逆転、とまるで箱根での逆転優勝を想定した予行演習のようなことまでやっています」

 この箱根も、“花の2区”の一色恭志(4年)を除く看板選手を全て復路に配置。

「青学の戦略を察知していた他校は、“あわよくば”な往路に有力選手を投入したのですが……」(同)

 それでも、往路は青学が制したのだった。

「往路を終えた原晋監督は、“負けても良かったのに”と余裕の発言。あげくに、総合優勝したかのようなコメントまで口にし、“監督、明日もありますから!”と選手たちにたしなめられていました」(同)

 翌日の復路も、主力級を並べた青学がリードを拡げ、あっさり優勝してしまった。

 記者が続ける。

「原監督は“もう箱根はやり尽くした”という気分のようです。既に、“次なる野望”に舵を切っているみたいですから」

■リオでは訴え却下

 原監督自身も、優勝インタビューで、今後の目標を問われてこう言い切った。

〈箱根駅伝の舞台だけではなく、わが“青山学院軍団”から東京五輪をめざせるランナーの育成を考えていきたいと思います〉

 つまりご自身はさしずめ、有森裕子や高橋尚子を育てた小出義雄氏のような存在もめざすようなのである。

 さるスポーツライター氏によると、

「この夏、部員たちを集めて“マラソンをやりたいか?”と尋ね、挙手した者には、駅伝だけでなくマラソンの練習もさせています」

 昨年2月の東京マラソンでは、青学の選手たちが数人出走し、今回8区を走った下田裕太(現3年)が日本人2位、一色が同3位と健闘した。

「リオ五輪代表選考レースでもあったため、原監督は“将来性重視で選んで”と訴えましたが、聞き入れられず。彼はそのことを相当根に持っていますね」(同)

 もちろん今冬のマラソンでも“青学軍団”が気を吐きそうで、東京マラソンに下田ら、3月のびわ湖毎日マラソンには一色がエントリー。いずれも今夏の世界陸上ロンドン大会の代表選考レースである。そして、

「IT大手のGMOが昨年4月、マラソン専門の陸上部を発足させたのですが、原監督はそのアドバイザーになっていて、監督が“瀬古2世”と呼び期待を寄せる一色も、今春からの所属が内定しています」(同)

“五輪ランナー育ての親”という称号に向けて、着々と準備を進めているのだ。

 スポーツジャーナリストの生島淳氏が語る。

「陸上界に人脈が乏しい代わりにしがらみもない原さんは、大胆な発言をして風穴を開けようとしています。そのためには、ひたすら勝ち続けるしかない。それは本人も自覚しています」

 ゴールはまだ先のようだ。

ワイド特集「年を跨いだ無理難題」より

週刊新潮 2017年1月12日号掲載

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