仏で行方不明の筑波大留学生 国際手配チリ人のストーカー気質
フランス、チリ、そして日本。3つの国に跨って展開する今回の「失踪事件」。フランス東部、ブザンソンにある大学に留学中だった筑波大生・黒崎愛海(なるみ)さん(21)の身には一体何が起こったのか。そして、国際手配された重要参考人のチリ人は何者なのか――。
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行方不明になっている黒崎さん(本人Facebookより)
ブザンソンは人口10万人程度の小さな田舎町だ。ルイ14世時代の砦や、昔の城壁がぐるりと町を囲んでおり、その周囲には広大な森がどこまでも広がっている。そんな町の中心部から車で10分ほどのところに、黒崎さんの留学先、フランシュ・コンテ大の寮はある。彼女の姿が最後に目撃されたのは、昨年12月4日、場所はブザンソンから20キロほどはなれたオルナンのレストラン。フランスの画家、ギュスターブ・クールベの代表作「オルナンの埋葬」で描かれたことでも知られるその景勝地を訪れた彼女には、同行者がいた。その男こそ、後に国際手配されることになるチリ国籍のニコラス・セペダ・コントレラス(26)だ。
「午後11時過ぎに店をあとにした2人は、店に来た時と同じレンタカーでブザンソンの寮に向かった。寮に入っていく2人の姿は、寮の玄関に設置された防犯カメラに映っていた」(ブザンソンの地元記者)
異変が起こったのは日付が変わった5日午前3時から4時の間。複数の寮生が聞いたのは、耳をつんざくような女性の悲鳴だった。寮の防犯カメラには、2人が寮を出る姿は捉えられていなかったが、判明しているその後のニコラスの足取りとしては、7日に列車でフランスを出国。スイス、スペインを経て、チリに帰国した彼が国際手配されたのは、26日付だった。
■ストーカー気質
ニコラスには、2014年4月から15年3月まで特別聴講学生として筑波大に留学していた過去があり、
「黒崎さんとは、大学が承認している語学クラブで知り合い、交際するようになったようです。彼は15年3月に留学を終えるとチリに帰国しましたが、その後も黒崎さんとの交際は続いていて、黒崎さんに会うために幾度となく来日し、わざわざ筑波を訪れていたといいます」(筑波大関係者)
黒崎家の事情を知る関係者もこう証言する。
「一昨年、親族が集まった飲み会に愛海ちゃんはニコラスを連れてきていた。彼とは家族ぐるみの付き合いで、彼女の母親も彼のことは知っている」
そんな2人が別れたのは昨年5月。
「その年に入ってから、黒崎さんは恋人からの暴力に悩んでいる、と漏らしていた。別れた原因はこの辺りにあるのかもしれません」
と、先の筑波大関係者は明かすのだが、“気になる情報”はまだある。黒崎さんの友人に聞くと、
「ニコラスは、確かに優しくて話しやすい陽気な人物なのですが、その一方、以前からストーカー気質なところがありました」
とした上で、次のように証言するのである。
「黒崎さんは、ニコラスと別れた直後に別の外国人男性と交際を始めたのです。その男性とは、黒崎さんが失踪した12月4日の段階でも交際が続いていた。もしかしたら、ヨリを戻そうと黒崎さんを追いかけて行ったニコラスに彼女が新たな恋人の存在を告げ、それが事件につながってしまったのかもしれません」
間もなくブザンソン周辺の森は雪に埋もれる。それが捜索の大きな障壁となることは言うまでもない。
ワイド特集「年を跨いだ無理難題」より
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