日露首脳会談、元島民たちの本音は100点満点の何点?

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 北方領土問題の「当事者」は、安倍総理とプーチン大統領だけではない。4島の元島民たちも、いや彼らこそ真の当事者である。今回の会談結果を受けた元島民の本音は、安倍総理にどう響くのだろうか。

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「2日間、ずっとテレビに囓(かじ)りついていたんだけど、だんだんね、失望が強くなっていきましたよね」

 こう振り返るのは、5歳まで国後島で生活していた鈴木昭男氏(76)だ。

典型的な同床異夢?

「経済の話もいいけど、元島民だから、やっぱり少しは領土返還の進展を期待するじゃないですか。残念な年の暮れになってしまいましたね。点数をつけるとしたら、100点満点でせいぜい30点かなあ」

 11歳まで歯舞群島の多楽島で暮らしていた千島歯舞諸島居住者連盟副理事長の河田弘登志氏(82)は、こう後を受ける。

「安倍総理は今までにないほどプーチン大統領と会談を重ねておられました。それだけに、プーチン大統領の来日を心待ちにし、返還に向けて具体的な話があるのでは、今度こそ動くだろうと期待しておりましたが、領土問題の話は少しも出ず、非常に残念です。我々にとって、100点とは4島が返還されること、としか申し上げられません」

 ということは、来日直前にプーチン氏に「領土問題はない」と言わしめたこの度(たび)の首脳会談は「0点」に値する。それでも、安倍総理は会談後の共同記者会見で、

「ウラジーミル、今回の君と私との合意を『出発点』に、『自他共栄』の新たな日露関係を、本日ここから共に築いていこうではありませんか」

 と、高揚気味に謳(うた)いあげたのだった。

 ある官邸スタッフが、その心中を代弁する。

「5月にロシアのソチで首脳会談を行った際、『新しいアプローチ』で交渉を加速させることで一致しました。これは、今回の首脳会談で合意に至った共同経済活動、つまり政治と経済の切り分けを意味します。この新しいアプローチの帰結として、2島返還なのか4島返還なのかという話が始まることになるんです。これまでの政権では、新しいアプローチにすら辿り着けなかったのですから、これを成果と言わずして何と言うのでしょうか」

 加えて、

「プレス向け声明の中には、共同経済活動が平和条約への一歩である旨がしっかり記されています。その活動の対象地域が2島ではなく4島になったことも大きい。日本の勝利です」(安倍総理に近い自民党代議士)

 しかし、共同経済活動には大いなる暗雲が垂れ込めており、やはり悲観的にならざるを得ず……。

 北方の未来、おそロシア。

特集「元KGB『プーチン』大統領に期待する方が大間違い! 新聞が書かない『おそロシア首脳会談』7つの不審」より

週刊新潮 2016年12月29日・2017年1月5日新年特大号掲載

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