小向美奈子が語る刑務所独居房生活 「トルストイ」と官能小説を読破

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 グラビアアイドルが覚醒剤取締法違反で逮捕。その後ストリッパーとAV女優に転身したが、再び覚醒剤で逮捕され、服役することに……。小向美奈子(31)は、まさに「流転の人生」を送っている。2016年12月、ストリップの舞台に戻った彼女が、1年3カ月の刑務所生活を告白する。

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「(2015年2月に)逮捕された時は悔しいというより、これも運命だと。刑務所に入れば、色んな事をリセットできる。どこかホッとした思いがありました」

ステージでニッコリ

 こう語る小向が、栃木刑務所を仮出所したのは16年7月。11月に新作のAVが発売され、12月16日から30日まで横浜ロック座で踊っていた。小向が言う。

「刑務所では独居房にいました。というのも入所する際、性的な嗜好を申告することになっていて、私はバイセクシャルの欄に○を付けた。それで独居房に入れられたのでしょう」

 独居房は4畳ほどで、大きめの窓とトイレがあるだけだったが、

「刑務所の1日は起床、朝食の後、7時半からの作業で始まる。私は裁縫の担当で、ミシンでバレエシューズを作っていました。作業は12時まで行い、1時間の昼食と自由時間を挟み、作業を16時まで続けます」

■16歳で『人生論』

 作業終了後、就寝・消灯まで4時間あったそうで、

「刑務所に入ると禁欲生活を強いられますが、私はさほど苦にならなかった。クスリと言っても、私は中毒になるほど嵌(はま)っていたわけじゃない。むしろ最初苦しんだのはお酒とタバコ。特にお酒です。元々、私は他人と一緒にいることが苦手で、その緊張を紛らわせようと、10代の頃からお酒を飲み始めました。クラブ通いをして朝まで飲み、20代になると、夜12時くらいから翌日の昼までずっと飲み続ける生活をしていた。好きなのは焼酎で、『吉四六(きっちょむ)』をお茶割りでボトル3本、毎日空けていたんです。ですから、クスリではなく、お酒の禁断症状に悩まされました」

 独居房での生活は、むしろ他人との接触を断って、独りの時間を確保できるので有り難かったという。

「意外かもしれませんが、房では読書をしていました。刑務所の図書館からトルストイの『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』を借りましてね。『戦争と平和』は4巻もあって、登場人物も多い。最後まで読むのが大変でした。『アンナ……』は、主人公のアンナを通じて、女性の生き方をずいぶん考えさせられた。実は、16歳の時に『人生論』を読みました。私なりに内容を解釈すると、人は恋愛とか宗教、色んなものに頼ったり、酔ったりしないと生きていけない。弱い自分を何かで補って生きるのだ、と。この考えが好きで、塀の中でトルストイを読んだんです」

 ハリー・ポッターシリーズも全巻読破したという。

「英国の官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』も面白かったです。美しい女子大生が、ハンサムでリッチなビジネスマンと恋に落ちる話ですが、この男にはSMの趣味があって、段々異常な性愛に目覚めていくというストーリー。最近、SMもののDVDの撮影が多いんですが、仕事柄、支配されていく女の子の気持ちが何だか分かるような気がします」

 トルストイは「孤独なとき、人間はまことの自分自身を感じる」と言った。小向も独居房で自分を見つめ直すことができたのだ。

ワイド特集「夜明けの鶏(チキン)レース」より

週刊新潮 2016年12月29日・2017年1月5日新年特大号掲載

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