「ツキノワグマ掌まるごと」そば、「1本6500円」の最高級食パン 日本の超高級ガイド

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ムダに高いモノもある日本の超高級ガイド

「千里の馬も伯楽に逢わず」。どんな名馬も目利きに巡り逢わなければ世に出ないと言うが、ここに紹介する至芸の品はどうか。ムダに高いモノもあるやに見えるが、いずれ劣らぬ個性の力で存在感を発揮している。仏人や中国人も買い付けに参じる日本の超高級品の数々。

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 夏目漱石は『夢十夜』で不思議な夢の世界を著した。その第六夜では、鎌倉時代を生きた運慶がなぜか明治の世に現れ、仁王像を彫る様子が描かれる。

〈自分〉=(漱石)は怪訝に思いながらも、その“妙境に達した鑿と槌の使い方”に見入る。すると見物人の一人がこう言う。

〈「あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ」〉

 そこで〈自分〉も、自宅で鑿と金槌を手に薪に向かう。しかし彫れども彫れども、薪の中には仁王の“怒り鼻”は埋っていなかった。

 漱石はこう言いたかったに違いない。凡人ではなく、天賦の才が修錬を経て確立した匠の技は、自由自在に名作を生み出せる、と。

 翻って、日本的精神が息づく現代の匠の技にはそうした力は宿っているか。食品から工芸品、日用品まで、超高級と評される日本の品々を紹介していこう。

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