箱根駅伝、見所は「王者青学」vs「東海大1年生ドリームチーム」
正月恒例の箱根駅伝――大本命は3連覇を狙う青山学院大。今季も出雲駅伝、全日本大学駅伝と勝利し、三冠を窺う好調ぶりだ。そんななかで“もしや”を期待させるダークホースが、出場44回ながら未勝利の東海大学である。
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正月恒例の箱根駅伝(写真はイメージ)
「他ならぬ青学大の原晋監督が、“一番怖いのは東海大”と明言していますよ」
と大手紙記者が語る。
「“東海大に4連覇させるわけにはいかない”とまで言っているんです。どういうことかというと、今の1年生が2年生になる次回大会からは、東海大が3連覇する。せめて彼らが1年生のときだけでも優勝を阻止しておきたい、ということなのです」
かくも原監督が恐れるように、東海大の1年生軍団は凄いことになっている。15年の全国高校駅伝のエース区間を走った上位6人のうち、3位を除く5人が入部し、“1年生ドリームチーム”と化しているのだ。
「登録選手16人中8人が1年生。私も長く箱根駅伝を取材していますが、こんなことは初めてです」
とスポーツジャーナリストの満薗文博氏も目を瞠る。
「しかも、間違いが起きると取り返しがつかない1区、最も距離が長いエース区間の2区、山登りの5区、復路スタートの6区、と重要区間を全て1年生に託す可能性が高いのです」
先の記者に選手名を挙げてもらうと、
「1区は11月のハーフマラソンでジュニア歴代2位をマークした鬼塚翔太(大牟田高卒)、2区は出雲駅伝でエース区間を走って区間賞デビューしたスーパールーキー関颯人(はやと)(佐久長聖高卒)が有力です。5区を任されそうな館澤亨次(埼玉栄高卒)は、前回大会までの“山の神”神野大地(青学大卒、現コニカミノルタ)に匹敵する最大酸素摂取量だった、と両角(もろずみ)監督が太鼓判を押しています」
■合言葉は“両角を男に”
それにしても、なぜこんなに優秀な1年生たちが東海大に結集したのか。
「日本最先端のトレーニングを採り入れていることが魅力の一つだったようです」
と分析するのは、自身も元“箱根ランナー”でスポーツライターの酒井政人氏。
「高地トレーニングに近い環境を作れる低圧室や、脚に負担を掛けない無荷重ルームランナー、血液成分を測定できる装置などを備えています。また、海外のトレーニングも監督自ら熱心に研究しています」
両角監督が母校・東海大の監督に就任したのは2011年。長野県・佐久長聖高校監督時代は、同校を全国屈指の駅伝強豪校に育てあげた。教え子の佐藤悠基はロンドン、大迫傑(すぐる)はリオの五輪代表になっている。
「ライバル校や弱小校を誘い合わせて合同で練習を行っていた両角監督は、各校の監督から“両角さんならうちの生徒を預けても安心”と信望を集めています。それどころか、いくつかの有力校の監督が“両角を男にしてやろう”を合言葉に、自分たちが指導した有力選手をどんどん東海大に入れているのです。来春も、数人の“スーパー高校生”の入部が内定しているのだとか」(先の記者)
更に、スポーツジャーナリストの生島淳氏によると、
「今のトップクラスの高校生ランナーたちは仲が良く、LINEで頻繁に連絡を取り合っているそうです。そして、みんなで同じ大学に入ってその大学を初優勝させよう、と一致団結するんです。青学の前回の4年生たちがまさにそうでした」
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ワイド特集「夜明けの鶏(チキン)レース」より