SMAP元マネvsジャニーズ事務所 「退職金」と「詫び状」めぐり弁護士を立てた話し合い

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“残留派”木村拓哉(44)と、残るSMAPの4人に育ての親こと飯島三智マネージャーを加えた“独立派”との対立が表面化したのは、今年1月のことだった。“独立派”の4人は、ジャニーズ事務所との契約が切れる来年9月に独立し、飯島女史と共に芸能オフィスを立ち上げるプランがあるという。

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ジャニーズ事務所

 その一方で、ほとんど知られていないが、この辣腕女史と事務所とのあいだには、紛争が続いてきたのだった。

「双方が日本を代表する弁護士ファームのパートナークラスを立てて、法廷闘争にまでは発展しないまでも、話し合いを行なってきました。ジャニーズ副社長の2人であるメリー(喜多川)さんと(藤島)ジュリー(景子)さんは、飯島に対して詫び状を求めた。決裁権者であるメリーさんの判子なしにあれこれとコトを進めた、結果として事務所に迷惑をかけた、それについて謝罪せよということですね」

 そう話すのはさる音楽事務所の関係者である。宣戦布告を受けた恰好の飯島女史側はと言うと、

「当初は“お金はいらない。謝らない”というスタンスだったんだけど、カネは絶対に要求すべきだと周辺がアドバイスしたんです。メリーさんは件(くだん)の騒動のさなか、懲戒解雇にするつもりで彼女をしばらく宙ぶらりんの立場に置き続けましたから、周辺はいまも腹の虫が収まらない」(同)

 飯島女史というよりはむしろ周囲の心のうちにわだかまってきた、不本意な扱いに対する看過しがたい気持ちが彼女を動かした。

「それからは、ああだこうだと話し合いが進んで半年前に、『退職金』という名目で3000万(円)に満たない額が支払われました。彼女は35年勤務し、在職時の月収はおよそ100万だったから、計算によっては7000万ほどは受け取ってもおかしくないんだけど……。ま、財布の紐は固い事務所だからね」(同)

■「書け」「書かない」

 この切れ者マネージャーは、SMAP関連の映画制作などに携わる「ジェイ・ドリーム」社の取締役でもあった。確認できるうちで直近となる2010年12月31日時点での貸借対照表の要旨は以下の通りである。

・総資産9億7600万円

・負債2億9800万円

・純資産6億7800万円

 税理士の浦野広明氏はこう診断する。

「資本金1000万円から始めて、純資産をここまで貯めこみ、内部留保が潤沢にある。加えて、資産合計のうち、やすやすとは動かしにくい資産はほとんどなく、すぐに現金化できる流動資産は9億6200万円に達している。要するに、超優秀な会社ですね」

 純資産を発行済み株式の200株で割ると、1株あたり339万円になる。やり手女史は株式の3%を保有していたというから、2000万円ほどの価値になる。これについては、

「彼女はその権利を放棄したようです」(先の事務所関係者)

 カネの問題が片付いても詫び状については両者は一歩も引かなかった。

「『書け』『書かない』の応酬が続いたのですが、先月には、『謝罪ナシ』という形で妥結しています」(同)

 事実、ジャニーズ事務所に質すと、

「退職金を支払うことによりすべて解決済みであると理解しております」

 と回答したのだった。

■新事務所の未来は

 こじれにこじれたものだ。本誌(「週刊新潮」)既報の通り、5人組は芸能界のドンこと田邊昭知氏が率いる「田辺エージェンシー」の後ろ盾を得て、揃って独立することになっていた。そこには、前出の事務所関係者が、

「ジャニーズを飛び出して芸能界で生きていくには田邊さんを頼るほかなかった」

 と告白するように、斯界のしがらみにつながれる者の宿命がありありと見て取れる。とはいえ、この契約には、SMAPのコンサートの売り上げやグッズ販売などの一部をジャニーズに上納するという条項が含まれており、ジャニーズ側もこれを諒としていた。マイルドな、いわば巣立ちのような形だったものが、木村の離脱でもろくも瓦解する。

「正式に独立が破談になったのは、去年の12月31日でした。お通夜さながらに紅白の舞台を迎えたことが、昨日のことのように頭をよぎります」(同)

 その後の状況に鑑みると、オーナー一族もアイドルも、そして、その手綱を握るマネージャーも、めいめいが悲劇の関頭に立たされ始めた瞬間だったわけだ。

 ある芸能プロ幹部は、

「それにしても……」

 とし、彼らの身空を次のように案じるのだ。

「立つ鳥あとを濁さずと考えられないものでしょうか。“せめて紅白……”というファンの最後の希望さえ無下にして、あれだけお世話になった『スマスマ』だって何事もなかったかのように“ジ・エンド”にしようとしている。稲垣や草なぎが逮捕されたとき、2人の謝罪会見や復帰までを支えたのはフジテレビのスタッフら。彼らの努力に報いる姿勢があってもいいと思うんですがね。こうやって一般常識が通じないままに新事務所を作って、仕事がうまく行くのか、甚だ疑問です」

特集「『ジャニーズ事務所』vs『辣腕マネージャー』の詫び状と退職金の攻防 『中居派タレント』結集の芸能オフィスが『SMAP』解散後のプランA」より

週刊新潮 2016年12月15日号掲載

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