日経新聞記者、酔って「パワハラ」自虐メールを一斉送信 部内200人に

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 電通の例を挙げるまでもなく、パワハラは時に悲劇を招きかねない。しかし、日経新聞記者の場合、仕事でミスを犯し、上司から呼び出しメールが届くと、酔った勢いのまま部内全員にメールを出し、パワハラ告発を行ったのだ。

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岡田直敏社長も頭が痛い

 11月17日の深夜、日経新聞の企業報道部次長から、

〈必ず顔を出すように。夕方、取材が終わってからでいいから〉

 とのメールが自動車メーカーのマツダを担当する記者に送られた。

 すると、その記者は次長だけでなく、企業報道部内の全員に以下のメールを送信したのである。

〈申し訳ありませんが明日は伺えません。しばらく休ませて下さい。もうマツダのような重要な企業を担当する自信がありません。私のような無能な者が担当していても、企業報道部、ひいては日経にも迷惑をかけるだけです。(略)会社に勤めていること自体が罪だとおっしゃるかもしれませんが、生活に区切りがつくまでは働かせて下さい。(略)皆さんから評価されていないこともわかっています。大変お世話になりましてありがとうございました〉

 要するに、記者としての能力に欠けるから会社を辞めると、“自虐的”な申し出をしたのだ。

■妻も日経

 一体、何があったのか。

 同僚社員が明かす。

「17日、マツダが北米に電気自動車を投入すると明らかにし、各紙とも横並びでその記事を掲載しました。ですが、日経の記者は常に、企業発表よりも先んじることを求められる。マツダの担当記者はそれができなかったわけです」

 そのため、企業報道部次長から“必ず顔を出すように”と呼び出されることになった。

「企業報道部には約200人の社員が属し、部長が4人、デスクと呼ばれる次長が20人ほどいます。呼び出しのメールを送った次長もそのうちの1人で、もともと“自動車グループ”の花形記者だった。なので、昔の栄光をかさに着て、グチグチと細かいことまで記者に注文をつけてくるのです。でも、当時、他紙は企業取材にあまり力を入れておらず、新規事業や合併などの記事は日経の独壇場でした」(同)

 ところが、他紙もここ10年くらいで、企業取材に重きを置くようになり、日経といえどもスクープ記事をものにするのは簡単ではなくなってきているという。

「マツダの担当記者は、自虐メールを送ったすぐあとに、今度は“酔っ払って、筆というか、指が滑ってしまいました”というお詫びメールを部内に一斉送信しました。でも、翌日から欠勤したので、幹部が話し合いを持ち、現在は職場復帰しています。実は、妻も日経の記者で、子育てしながら働いていることを会社の採用案内ページに取り上げられている。日経の労働環境が素晴らしいとアピールしているから、まるでブラックジョークです」(同)

 さて、当の記者に取材を申し込んだものの、黙して語らず。

 一方、次長に聞くと、

「どういう定義でパワハラというのかわかりませんが、“死ね”とか“辞めろ”とか、一切言っていません。マツダの記事については、ここはこういうふうに取材をしたら良かったんじゃないの?という話はしましたけど、それで思い詰めてしまったのかもしれない。彼の繊細な性格を忖度しなければいけなかったのかと思っています」

 部下との接し方に戸惑う、悩める上司だった。

ワイド特集「1度目は悲劇 2度目は喜劇」より

週刊新潮 2016年12月8日号掲載

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